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第十一話 ビーフシチュー
今日は忙しい日となります。
まずは食事をして、お産婆さんを呼び、私は村長のところへ行きます。
朝です、私達はしっかり食べましょう、そして奥さんの今朝はこれだけで我慢してもらい、それが終わったら、これを食べてもらいます。
「これは?」
ゆずという柑橘系の果物の皮を砂糖につけたの、ゆず茶よ、もし、お腹がすいてもお産婆さんが帰るまではこれで我慢してもらうわ。
「でも、飲めないんじゃ」
調べるためにはある程度空腹のほうがいいの、だから飲み物だけはいい。ちゃんと水分は取りましょう。
「大丈夫、ハイどうぞ」
それをもって二階へ行く旦那さんです。
「さあ、こっちも朝食、できた?」
もうちょっと!
しばらくするとばたばた下りてきて、『おいしいと飲み干しました』とおお喜びです。
それはよかった。さあ朝ごはん、私たちも食べましょう、いただきます!
いただきます!
朝七時に行ったのではあんまりなので、まき割りや、掃除などをして、お風呂に行きました。
「うおー!なんだこれ!」
「ルシアン、どうしたの?」
「これ、温泉、テルマエ!」
なにそれ?
さあ?
んきゃ?
ゆっくり入りさっぱりさせていただきました。
御主人に、温泉の話をしたら、井戸を掘った時にお湯が出たというので見せてもらいました、なんと源泉かけ流しではあーりませんか!
これは、お店の売りにできます。
時間をつぶし、八時というタイミングでお産婆さんを呼びました。
やはり赤ちゃんでした。
「おめでとう、お父さんですね」
「ハイ、ありがとうございます」
私は産婆さんにお茶と甘納豆を出し、この町の話を聞こうと思いました。
お口に合えばいいのですが?
ほう豆かい?うん、うまいねー。
頭のものを取りました。
「おやあんた」
「やっぱりだめでしょうか?」
いや?珍しいだけさ、シスターで黒髪、気にしてるから短くしてるんだろ?
はい。
「あの?お聞きしてもよろしいですか?」
なんだい?
この店の嫌がらせの事。
「アー、村長さ、意気地が無くてね、親のあとを継いだってだけで、踏ん反りかって焼きが回ったのさ」
黒髪の客の事知ってます?泥棒みたいですね?
知らないが、一人捕まえたら丸金貨十枚くれるってんで躍起になって、みんなが探したそうだ。結局見つからなくて、ただのねたみ、嫌がらせは嫉妬もあったかもしれないね。
「嫉妬ですか?」
彼らは北の国からの難民で、ここで商売を始めた。人当たりがいい若夫婦、客は自然と流れるさ。なんていっても他の宿屋は黙っていても客が集まるから天狗になってるのさ。
久しぶりに天狗というのを聞いた、日本語に訳されて聞こえるから、そう聞こえたのだ。
「仲悪そうですものね」
「まったく」
ここは王都までの途中でしかないからほとんどが宿に泊る。昔は客があぶれても紹介していたんだけどね。
今は無い、何かあったんでしょうか?
「シスター、この豆はまだあるかい?」
ああハイ、お茶も入れますね。
そこで私は興味深い話を聞いたのだ。
そして、ご主人に送ってもらっている間、みんなにその話をしました。
緊急会議です。
うそ?
まじかー?
村長っていうのやばい?
まだわからないけど。
そこで、スープ屋をしたいと思う。
今晩?
んーそこはまだ、でもできたらそうなるかも。
みんなはやろうといってくれた。
そして私は村長のところへ。
「染めないのか?」
「うん」偏見があるみたいだからこれでいく、ただ二人にも付いてきてほしい。
「まさか?」
「おい、又するのか?」
今はまだ。
ベルとアレンに一つ頼みごとをしました。
「ああ、みてやる」
「こいつらも腹が減ってるだろうから、いいのができるよ」
彼らには部屋の改築ができないか見てもらいます。
ガラスが高く、窓がありません。二階の部屋には明り取りの格子窓がありますが、ほとんど閉めっぱなしなのであまりいいことはありません。
一階はもっとちゃんと休めるようにしないと、赤ちゃんもできるんですからね。
後はみんなに頼み私達は村長のところへ向かいました。
教会の制服に、二人はびしっといい男になってもらいました。
「何、ニヤニヤしてんだよ」
「見ろ、女どもがあんたたちを振り向いてみてる」
「いやー、ウワー油が」
「もう、ほら、これで拭いて」
「まったく、これぐらいにすればいいんだよ」
とマルコが人差し指で髪をはじきました。
振り返る女性たちがキャッと声を上げました。
「さあ、付いたらしっかり帽子をかぶってね、段取り道理頼んだわよ」
「うす!」 「おうよ!」
昨日の人は、奥様のようでした、今日は少しおしゃれをしています。
そして村長、はげ親父です。でもお産婆さんの話ではまだ四十になったばかりのような事をいっておられたんですよね。
二人はちゃんと挨拶をしました、そして私です。
「北はドルーテン共和国より、エルーベジュー国、第一王子ヴェシュート殿下、第二王子リュッシュ殿下より、命を受け各地を回っております、ルシアンと申します。よしなに」
とにっこり笑ってやった、アリア様のように。
はげのおじさん、動揺しまくりです。
どうぞ、話を聞きましょうとやっと座らせてくれたわ。
ご家族はお二人だけですか?とマルコ。
いえと言う奥様に、お子様はそこで聞き耳を立てているお方たちだけですか?とセル。
見つかったという声がしています。
「ルシアン様、いかがいたしますか?」
「中へ」
「はい」
セルはドアを開け中に入ってと入れました。
「お子さんは三人ですか?」
男はため息混じりにそうだといいました。
「すみません、よろしければお名前をお伺いしても」
「ああ、すまない」
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