第十一話 ビーフシチュー

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この村を治めるマシュリーさん。奥様のリリーさん、お子さんは長女とご子息二人。 大事なお話ですので皆さんおかけください。 「では、率直にいわせていただきます、村長、このままではあなた、斬首になりますよ」ガタンと大きな音を立て立ち上がった。 「お座りください、意味はお分かりのようですね」 「わ、わたしは!」 「奥様、一ヶ月ほど前、この村に第一王子が滞在されましたね?それは誰からお聞きになられたのでしょうか?」 「ひっ!」 「ああ、話したく無ければ無理にとは申しません、あなたたち大人のした事で、この子達もこうなるのですからと首に手を当てました」 「子供たちだけは助けてくれ!」 「助けろ?それは都合がよすぎるのでは?」 「私達は、言われて、したがったまで」 「教会のブラザー、さて、ジョルジュ、エバ、それとも二人?」 「教会の中の事ですよシスター」 「あら、そうだったわね」 何が起きているんだと頭を抱えた人。 「マシュリーさんに知らせず、村の人を貶めるようなことをしていたんですものね?奥様?」 「そんなことは!」 「よそ者ですものねー、どうなったって関係ないですもんねー」 と私は冷ややかに微笑んでいます。 「この村に教会が見当たらないのだが、王妃の名を掲げあなた方を苦しめている教会のものは、宿屋に居るのか?」 「違うだろ、ブラザー、ブラム亭を見張るちょうどいい場所があるではないか?」 それを聴いた村長がびくっとしました。 「この国は今、戦いの真っ只中にいます、ご存知?」 首を振る奥様。 「あらそうなの?二人はこの国を売ったのよね、メルク国王に」 「そんな事はしてないわ!」 「知らぬ!国を売るなどして居らぬ!」 「ですが結果そうなってるわ、あなたたちは、自分の子を難民にするため動いているのではないの?」 顔を真っ赤にして、そんな事あるか!と男が声を張り上げました。 「冷静に、お子さんたちがおびえていますよ、難民は今のあなたと同じです。誰も好き好んで孤児になったのではない。戦いから逃げてきた。親兄弟を殺され、行き場が無く、ただ生きるために、生きようとしてここへ着た。それだけなのに…… あれを出して頂戴」 出したのは木の箱です。 「私は先王妃、黒髪の魔女といわれたヴァレッテリア様の意志をついで、これらにかけて、国々を守らねばなりません、さて、いかがいたしますか?」 お姉ちゃん、あれ何? しっ! 「いいのよ?これはね、この国の旗、これは北の国、南、西の国の旗よ、おいで、きれいでしょ、お兄ちゃんもおいで、広げてみましょうかね」 「素直な子供の命、天秤にかけますか?」 二人は泣き崩れました。 命乞いをする二人、あなた方家族は両方から狙われる立場になっている、逃げろというのは簡単だけど、殺されるのは目に見えている。 「お助けください!」 「なんでもします!」 「お姉ちゃんはどうする?」 どう見ても分別のできる年齢に見えたのでいじわるではありませんが、両親がどんな愚かな事をしているのか知ってほしかった。 「私も何でもします、家族をお救いください!」 それを聞いて安心しました、この家族は大丈夫だと。 では一つ、お願いがあります。とにっこり笑いました。
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