第十一話 ビーフシチュー

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子供三人に着替えをしてもらい、私たちは宿へ戻ってきました。 お姉ちゃんにはリオたちの手伝いを、男の子たちにはベルたちの手伝いを頼みました。 彼らはここで預かります。 そして村長たち夫婦には明日の昼までにある事をしてもらいます。 私達はあの家を監視します。というよりも。 へー、何を売ってるのかな? 髪は染めました、金色です。そしてかつらをかぶり、ドレスをお借りして今、昨日の商人、男が入った店を見ています。 手を振ると、二階の部屋からぴかっと光が。 「おい、何してる?」 ごっつい男です。 「もう、髪が乱れて、ごめんなさい、映るから、直してたの」 「どけ、商売の邪魔だ」 「あらごめんなさい、ここは何を売ってるの?よければ買って差し上げるわ」 「いいよ」 「あら、そう、そうだわ、ちょっと聞きたいのだけど、この辺に、宝石をもぐりで買ってくれるって聞いたの、このごろ物騒でしょ?お金のほうが何かと便利で、これも売りたいのよねー」 そういって首にぶら下げていたのを出しました。 「しらねえな」 「まあいいわ、パパに聞けばいいし。アーもうこんな村、早くでていきたいのニー、ほんとに、エルージュのスープ屋が来ているのかしら。あなた知らない?」 「さあな」 「もう、私あそこで働いてる子の追っかけしてるの、かっこいいのよ、まあ、あなたもそれなりかしら?もう、ここにくればいいって聞いたのに、どこにあるのよ!もう!」 歩き出すと、ちかちか光が後ろから伸びています。 引っかかったな。歩き出しあちこちの店をのぞいていると、またチカチカ。 準備が整ったみたいです。 そのまま、私たちを泊めてくれなかった、一番高そうな宿屋へと入りました。 ここは飲食ができます。レストランのようなものがあるんです。 私は、男女が座る席へとつきました。 足跡が近づいてきます。 私の前に男が立ちました。ちょっとこじゃれた格好をしたおっさんです。 「失礼お嬢さん」 「おや?」 「オウ、久しぶり」 「あら、アリア様、ケイン様もお知り合いなの?」 知り合いも知り合い、なあ、ジョゼフ、元気だったか? 久しぶりですね?あなた、今ここですの? い、いやー? 「何か御用?そういえばさっきのお店の人もいるようね?」 「店?何の話だ?」 パパにあの変にもぐりでやってる宝石商があるから行ってくればいいと聞いたんだけど、無かったの。でね、その人が、ここじゃないって教えてくれたのよ、あーそうだ、もしかして、そのお店の人を連れてきてくださったの?まあうれしい! 「ほう?いつから宝石商になんったんだ?」 「もぐり、聞き捨てなりませんわね、お座りになったら、お話聞かせていただきましょうか?」 「いや、用事が」 「まあ、そんなこといわず座れよ」 「遠慮」 「座れ!」 ドンといすを差し出した。 「用事とはなんなのでしょう?」私が訊ねると。 「戻らない方が賢明でしょうね」と静かにアリア様が言われます。 「用事?ああ、教会という名の宿屋か?あそこにいたブラザー見習いの姿をした奴なら兵士に引き渡したけど、何お前も関係者か?まあゾロゾロなんかごっついの捕まえたけど、そうなのか?」とついて着た人に尋ねるケイン様です。 俺たちも帰ります。とぺこぺこ頭を下げ逃げようとする男たち。 「あらそんな事おっしゃらずに、回りには兵士の皆さんがいらっしゃるのですから遠慮なさらずに」 兵士だって? ザンと立ち上がったのは、この村の入り口でちゃんとした仕事をなさっていた方々です、それ以外の人は、村長が連れ出し、今は牢屋の中にいます。 裁きは後になりそうです。 実は帰るとこんな事があったとあるものを持ってきたアレンとベル。 私たちが村長のところへいった直後のことでした。 ケンタが外を指差してアーアー言っていたのに気がつき外へ出るとそこにいたのはエルの伝書鳩。鳩じゃないですよ、きれいな鳥で、王家専用みたいです。捕まえると足に手紙が付いていたのです。 そこには、ケイン様たちが来ること、それと伝書鳩は自由に使ってくれという内容でした。 だからこんな事をしたのです。 二人が調べを進め、兵士たちも上のもののやり方にあきれていたからか余計にも追求は厳しいものになったようです。 もちろん村長夫妻もそれなりの事をしてもらわなければなりません。
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