第十二話 あつあつ焼きショウロンポウとボルシチ

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「どう?」 「焼きに入ってる」 「春巻きはオッケーね水餃子のほうは?」 「後蒸すだけ!」 「よし」 「中華丼の具できたぞ」 「ガイルさんどうですか?」 「これでどうですか?」 「おおーいいですね」 「でもこれが本当に売りになるんですか?」 「ハイ、酒飲みの当てにもなりますからね、さすがスープ屋のショウロンポウだと言わせてみせます!」 「すごいな」 「そろそろお客さん来るよ!」 「ハイ、それじゃあラストスパート、がんばりますよ!」 「うわー」 お客さまは食堂へ入ると、まず明るさに驚きます。だいたいが油に芯を入れた物か暖炉の明かりだけなので、魔石の明かりを金属に反射させたものだけで、相当明るく感じるのです。 「お部屋の番号の着いている席へどうぞ?予約をなさってない方はそちらで受付をお願いします」 「いらっしゃいませ、お部屋の番号は?」 「これです」 「どうぞこちらへ」 ウワー、かっこいい。 素敵な人ね。 「どうぞこちらへ」いすを引いて差しあげます。 「本日のメニューです、お酒になさいますか?ソフトドリンクもございますが」 「お酒にしない?」 「食前酒と香りのお茶とお願いできますか?」 「お嬢様はいかがなさいますか?」 お嬢様だって。 「お、同じもので」 かしこまりました。 「お待たせいたしました、こちらは大変熱いスープが出ますので、レンゲにとってスープを出して覚ましてお召し上がりください、エールです、ごゆっくりどうぞ」 「エール?でかいな、まずはこれで、ん?何だこれ、ウメー、いかんいかんうますぎてエールを飲み干すところだ、焼きショウロンポウ、こうして、スープを出して、ずず、あつ、はふ、あつ、うま、はーこりゃいい、スマン、エールのおかわりを!」 夜の部は予約を裁けばいいので、少し楽です。 「はー、うまい、キムチのおかわり」 「ハイ、キムチ盛り合わせです」 「酒にあうー」 「部屋が空いてないのが残念だが、うまいのが食えるのは幸せだな」 「風呂にはいったかい?」 「風呂?まだだ」 「ああ、ここは金さえ払えば風呂に入れるんだ、テルマエといっていたな。最高だったぞ」 「テルマエ、山のほうに行かないとないと聞いていたがあるんですね」 「お客さん、お酒を飲まれているからお勧めしません、体壊すからお酒を飲んだ後はお断りしてるんですよ、その代わり朝ぶろはいかがですか?」 とカウンターの方もそれなりに動いている。 終了、お疲れ様でした。 ゆっくり休んでね。 私達も休ませてもらいます。また朝から忙しくなりそうです。 その頃村長は一人、家で仕事をしています。 シスターたちは休んでいますが、ちゃんと彼の護衛もかねているので安心です。 ただ彼は、今までの付けがあります。 どんなやつが狙っているか、まだそれはわかっていませんけどね。
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