何億光年も経てば忘れかけてしまうベテルギウス的な話

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それからというもの普段は時折見ては気晴らしにいく撮影会の掲示を何度も確認するようになった。 「お前、最近よくスマホを見てるよな」 話好きな職場の先輩は僕が先輩を無視して画面とにらめっこしているのが気に入らないらしく口先を捻って言う。 そういう時は『少しはこちらに気を使え』と暗に訴えているのだ。 僕はそんな脅しに少しもひるまないが小さい工場で撮影会のことが知れると面倒なので 「先輩。ジャイアンツの次の監督、江夏川になるって言ってましたよ」 と言って誤魔化すと 「マジか!?じゃあ今年もだめだな」 と苦笑いする。 そうこうしていると『兎耳のルフィ』というハンネで撮影会に参加するコメが書かれていた。 「なんだ、兎耳のルフィって。巨人軍のマスコットか?」いつの間にか人のスマホを覗き込んでいる先輩がボソリと言った。 「いえ、それはその、なんて言ったらいいか…」 「お前最近スマホでコソコソやってると思ったら、そういう趣味があったのか」 「いえ、その、そういうんじゃ」言っておくけど、僕は決して巨人ファンではない。 「いいんだよ、照れなくても。俺が今度巨人戦に連れってやるよ。ちょうどペアチケット余ったんだ」 「はぁ」 何を勘違いしたのか先輩は僕がジャイアンツのファンと勘違いしたようだ。 「神宮について来い!」
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