何億光年も経てば忘れかけてしまうベテルギウス的な話

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でも、なぜウサ子はピッチャーなのだろう? 「ウサ子。なぜ君はこんな事してるんだ? 選手達が帰るに帰れないじゃないか」 ウサ子はそう言うと馬鹿にしたようにこちらを見て嘲笑った。 「オホホ。よくそんなことを言えたもの ね。ウサギをあんなにキャラクターに仕立てておいて」 それはジャビット君のことだろうか? でもそんなことで怒ることでもなかろう。 例のスローボールが僕の目の前にきたが相変らず無重力状態でボールにカスリもしない。 このまま彼女が登板し続けたら普通に野球を楽しめなくなってしまう。 「ねえ、そんなことで怒ったって仕方ないだろ?」 「よくそんなことが言えるよね。私のこと忘れてるでしょ?」 彼女は泣きそう顔でボールを投げた。 えっ、この状態を作り出しているのは僕のせい? 「ボクだって覚えているよ。あのコスプレ撮影会で初めてあったんじゃないか、初めて…」 あっ、そうか。僕は初めてじゃなかった? 「そうだ!初めてあったときから懐かしいような…」 するとまた頭が痛み始めた。打席で膝を就いた。 ウサ子はその様子に投げるのを躊躇してボールがいつもより少し到着が速い。 「しまった」 何の根拠もないけど、今の状況の打開策はウサ子のボールをめいいっぱい遠くに飛ばすことだと考えた。 兎に角、遠くに飛ばすことで何らかの突破口を見い出せるようなそんな予感が。 中途半端な無重力ボールははるか彼方に飛んで行った。 ウサ子はガックリと膝を折り何故か落胆している。「どうして思い出せしてくれないの?」とつぶやきながら。 僕は自分の打ったホームランが嬉しくて球場のダイヤモンドを一周してホームを踏んだその瞬間、自分の打ったホームランボールが地球を一周してきて、頭に当たって僕は倒れてしまった。
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