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僕は男が好きである。
僕の秘密だ。
僕が男を好きだと気がついたのは、小学校六年生の夏休みだ。
僕の母はシングルマザーで、水商売をして僕を育てていた。母は、寂しさを忘れるためか、欲望のためかはわからないが家に様々な男を連れてきた。
サラリーマン風な男の翌日はガテン系な人、年齢も様々だった。母は決まってその男たちと結ばれた。
僕は時々母が男に抱かれる姿を目撃した。
乱れる母の姿にショックを受けるのが子どもとして正しいとするならば、僕は正しくない。
母を抱いている男の硬い体のラインや、女を抱く表情に目を奪われ心が熱くなった。
夏休みのある日母はまた男を家に連れ込み、男と昼間から抱き合い喉が渇いたと言いコンビニへ出かけた。
喉が渇いたのは、口実で別の男に会っていたのかもしれない。母はしばらく帰って来なかった。
母を抱いた男といえば、ふとんで寝ていた。
僕は母を抱く男の体を思いだした。6つに割れたお腹に僕も触れてみたい、かぎ鼻の顔にキスをしたい。僕は、そっと男にキスをした。
僕の唇が触れ、母が帰って来たと思ったのか男は目を覚ました。男は最初びっくりした表情をしていたが、やがて僕を受け止めキスをしてくれた。
男の硬い肌は心地よかった。
玄関の扉が開かなければ永遠と繰り返したいと思うほどに僕は快楽を感じていた。
しかし男の人と結ばれたのは、その一度だけだった。
僕は自慢ではないが女の子にモテた。
学校ではラブレターを良くもらい、バレンタインは鼻血が出るほどチョコレートが届いた。
人に好かれることは嬉しいが、本当に好きな人が振り向いてくれない辛さを抱えることは孤独でもある。
僕は高校生になるとやがて足りないパーツを埋めるように女の子を抱いた。
抱けば抱くほど惨めになり、女の子をまた抱くという悪循環を繰り返しながら自分が壊れないようにバランスをとっていた。
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