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その巨女は、彼らの女王。
「おとなしく星に還れ、そうすれば女王を解放することを約束しよう!」
女王はみずからの失態にその美しい顔を歪めて怒りを示す。
唯一無二の自分が囚われては仕方ない、今回はおとなしく撤退し、日を改めてまた侵略しようと、その怒りににじみ出た目が訴えている。
額と頬にアザのようなものがある。それが地球人と彼ら敵性宇宙生命体との違いか。
つかまった女王にかわり、やたらと顔色の悪い男が前に出てきた。笑っている。
「なにがおかしい?」
「降伏はしない。その解釈でいいのかな」
「降伏撤退の判断を迫られているのはそっちだ! この女はキサマらの女王なんだろう?」
交渉に当たっていた日本政府代表は、随伴させていた、ブレーンである眼鏡の男を見る。
「王ですよ、間違いなく」
その女王は、罠の影響で身体がマヒし、口がきけない。
「じょ、女王がど、どうなってもかまわないというのかッ」
顔色の悪い男は今度は声を出して笑った。
「煮るなり焼くなりお好きにどうぞッ」
日本政府は愕然とした。それ以上に、女王は愕然としていた。
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