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篁獅王。
彼女が、義経レッカ。
そして俺、戦国雄姿郎。
俺たちは高校の同級生で、幼なじみで、くされ縁。オムツを履いていた頃からの付き合いだ。
「ゆ」
「え?」
風が強い。
快晴の校舎の屋上。雲ひとつない空はどこまでも高い。
「雄姿郎がはっきりしないから悪いんだからねッ」
「どういう意味だよ」
気が強いレッカ。幼稚園の頃にクレヨンで描いた将来の夢は戦闘機のパイロット。
レッカは瞳をうるませていた。
「雄姿郎のせいであたしはこんなに苦しいッ」
「俺のせい?」
鈍感な俺はいつもレッカに怒られる。
「あたしは……」
また風が、レッカのスカートを巻き上げ吹き去っていった。
「雄姿郎が好き」
レッカは俺の頬を両手で包むと、かわいい顔を近づけキスをした。
こういう時は目を閉じる、それくらいは知っていたが、おどろきのほうが大きかった。
「!」
俺は目を見開く。
不意のキスよりもさらにおどろくべき光景が、続けざまに俺の目に飛び込んできた。
推定20メートルの巨人が、空から落下してくる。
巨大な、美女。
ひたいの真ん中と頬骨に、ひとつずつ奇妙なアザ。
レッカは俺を突き飛ばした。
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