00『FirstLove 〜初恋〜』

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どれくらい気を失っていたのか。 ゆっくりと回復する俺の視界に、日の丸がついた大型ティルトローター機が、ホバリングしているのが見えた。 航空自衛隊のオスプレイが、何本ものワイヤーロープでありえない存在を吊り下げていた。 幻覚じゃなかったんだ… a60a2516-b73b-4946-b28e-a15182aaefe2 それは本当に、人の十倍以上の大きさがある裸女だった。 タングステンのロープでがんじがらめにされ身動きできずにいるが、血走った目は眼下で動きまわる小さな人間たちを睨みつけている。 長い黒髪をなびかせながら、巨大な裸女はどこかに運ばれていく。 俺はぼうぜんとそれをながめた。 迷彩服の男たちが、崩壊した校舎屋上の瓦礫をとりのぞく。 赤い髪が見えた。 「れ、レッカ!」 俺はレッカに近づこうとしたが、身体が思うように動かない。 「おっと」 転びそうになった俺を支えてくれたのは体格のいい男。 くわえタバコにアゴヒゲのその風貌は、眼帯をすればそのまま某ゲームの主人公であり、自衛官と言うよりは軍人だ。 「小僧、じっとしてろ」 「レッカが」 レッカの全身が見えた。 「うわあああああああああああ!」 その両脚は無残につぶされ、ちぎれてうしなわれていた。 俺は何度もレッカの名を叫ぶ。 大切な幼なじみの目が開くことはなかった。 これが後に、『特異災害ゼロ号』と呼ばれる事件だ。
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