01『DivineMan 〜正義の味方〜』

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化粧なおしがおわったと思ったら、今度はスマホをいじりはじめる。 「なあ、せっかくなんだからさ」 「ええ?」 用意した曲は趣味が合わない。ラジオは聴かない。テレビもつまらない。 海を見て喜んだのは最初の五秒だけで、以降だまって手鏡かスマホを見るばかり。 「せっかく来たんだから景色みるとか」 「は? 景色なんてかわりばえしないし」 「だからってさ」 「だったらなんかおもしろい話してよ」 くだらない言いあらそいをして、沖であわ立つ白波に車中のふたりはまるで気づかなかった。 姿をあらわしたのは、特異災害(とくいさいがい)もしくは、徘徊する災害(ウォーキングディザスター)と呼ばれる、超巨大生物だ。 姿は巨大なタコ。 ぶよぶよの胴体には、人の顔のようなものがうかんでいる。 07365560-2770-4435-b248-d7b5beedc21e タコは巨木のような八本の腕をくねらせ、海岸沿いの国道150号を走行中のヴェルファイアにおそいかかった。 タコの形をした人なのか、人の顔を持つタコなのか。 体長20メートルを超える化け物タコは、触腕(しょくわん)で黒のヴェルファイアを掲げ、海にほうり投げた。 「特異災害(ウォーキングディザスター)出現!」 駆けつけた警官が無線にむかって、まるで怒鳴るように声を張り上げた。
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