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かえる、
私のことを好きにならない自信があった。
なんでって、…いや説明できるものじゃなくて。
自分のことに自信が無いし自分のこと嫌いだから、好きになるとこなんて無いと思ってるんだと思う。
だから、信頼されると怖くて変な優等生キャラになったりとか、わざとグレてみたりとか。
そういう風に、私って周りの環境に合わせて自分の形を簡単に変えてしまえる。
だから、
だから模範解答は言えるのに何でもない日に友達になにか言えない。用意されているものを、結局受け身得て生きてきたから。
…話が逸れちゃった。
とにかく、私はわからないの。
私のことを好きなあなたの事が。
俗に言う蛙化現象だって思うでしょ?
部分的にはそうで、でもねあなたの事を気持ち悪いなんて思わない。
私なんだ。
気持ち悪いのって。
私が、ずっと蛙なの。
釣り合わないって怖くなっちゃうんだろうね。
恋愛、出来ないよね。
私ってホント哀れ。
……ごめんね。そんな風に困らせるって分かって、でも伝えたかったの。
殴るなら殴ればいいし気持ち悪いと罵倒してSNSなんかに拡散してもいい、黙って逃げればいい。私はいつにもなく不安で強がりだった。泣きそうなのがバレないように下を向いて、もう一度ごめんね、と言った。
「いいよ、なんか不思議だった。僕は、僕なんかを好きになってくれてありがとう、ってそういう…そう思う人間だから。」と彼は言った。言い切るまで私は信じられなくて、なんていうか、なんだろう。
私は初めて肯定されて怖くなかった。すこし、ほんの少しだけ救われた感覚になった。
「友達に戻れるんじゃない?僕らなら」
「僕は君のこと嫌いになってないし、君も…良かったらさ」
「うん…。じゃあ、よろしく」
私なんかと友達でいてくれてありがとう。
心からそう思ったから、私は始めて真っ直ぐに彼と向き合えた。
彼が泣かないでと私の涙を拭う。
静かな夕暮れ、アパートの一室。
私の頬に熱を帯びていくのを感じる。
オレンジに隠れて、初めて私は
恋に落ちた。
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