2 記憶

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「えー、生物には食物連鎖というものがあって人間は現在その頂点に............」 なんとか今、4校時目の生物だ。 おじいちゃん先生が雑談をしている。 内容は多分頭に入ってきていない。 眠過ぎて眠過ぎてそれどころじゃない......。 集中力も何も無い......。 (あぁ、このまま寝たい......ってダメだダメだ! 落ち着け、寝るな俺っ!) あぁでも......もう限界......。​───────​ 「おい、居眠りをするなっ!」 大きな声にびくっとして顔を上げると、机のすぐ近くに鬼の形相の先生が立っていた。 「しっかりせんか!受験生だぞ!そんなんじゃ合格なんか出来ないぞ!」 「すいません......」 俺が謝ると先生はプンプンしながら早足で黒板の方に帰って行った。 (あそこまで言わなくてもいいのに......他の奴だって寝てるだろ) 俺はまたノートの上に落ちていたシャーペンを握った。ノートがミミズみたいな細い線でいっぱいになっている。 まぁいいや。今日はそもそもノートすらとっていない。眠くて手も動かなかった。 今日の授業の遅れくらいすぐ取り戻してやるさ。 そして、15分後。ようやく昼休みの始まりのチャイムが鳴った。
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