2 記憶

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チャイムが鳴り終わると同時に何人かの友達が俺の机の周りに集まって来た。 「おい海陸〜寝んなって〜」 「そうだぞ〜」 さっきの居眠りをバカにしに来たようだ。 「疲れてんだよ」 そう言い放って、俺は群がる連中をかき分けて弁当を持って屋上に上がった。 何となく、1人になりたかった。 屋上は静かで空気が綺麗で好きだ。 騒がしい声もしないし教室独特の雰囲気も気にしなくていい。 落ち着く場所だった。 屋上のドアをギィっと開けたら光が差し込んで視界には青空が広がった。 いい天気だ。 空いてるベンチないかな......。 「あ、」 なんと屋上には例の女の子がいた。 日当たりがいいベンチに座ってパンを食べている。 俺は何となく例の女の子から離れた反対側のベンチに腰を下ろした。 直接会うのは久しぶりで緊張するからだ。 クラスも違えば部活がない日だと見かけることさえない。 部活はこの前までテスト期間だったから久しぶりだ。 2週間ぶりに話せると思うとワクワクはするが気軽に話せるとはいえ話初めは緊張する。 話してしまえば全然大丈夫なのにな。 不思議だな。 お腹が鳴ってお弁当の蓋を開けたら今日のおかずはハンバーグだった。 俺の好きなプチトマト入りだ。 いつもとは違いゆっくり弁当が食べれる。 「頂きます」 「ご馳走様でした」 昼寝でもしよう............ お弁当を食べて昼寝していた俺は誰かにつんつんと肩をつつかれて起き上がった。 「海陸くんおはよう!」 「ん、うわっビックリした〜」 目を覚ますと例の女の子が俺の隣にすわっているところだった。 「あと10分で授業始まるよ?」 「あ、うんありがとう......」 どうやら俺を心配して起こしてくれたようだ。 例の女の子は駆け足で屋上のドアに向かっていった。 「海陸くんばいばい!」 「う、うんまたね」 そして俺も自分の教室へ戻った。
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