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3 思い出の海
SHRで配られた紙を見ると、そこには進路希望調査の文字があった。
教卓で先生が話をしている。
「夏休み前に三者面談をしますから進路希望調査はおうちの方とよく話し合って書いてください。」
先生のその言葉でクラス中の人がざわつき始めた。
俺はまだ行きたい大学が見つかっていない。
将来やりたいことや学びたい事はあまり考えたことがなかったのだ。
今までただひたすらに勉強し続けて、それが何に繋がるのかと言うことさえ考えずに。
ただひたすらに走り続けていたんだ。
「これでSHRを終わります」
先生が教室を出ていった後、クラスのざわつきが一層強まった。
「どうしよう私○○大学行けるかな」
「大丈夫でしょだって○○頭いいもん!」
「俺別にその辺の私立でもいいや〜」
「俺も〜勉強したくないから」
俺は机の上の進路希望調査の紙を適当に折ってファイルに入れた。
そして小さくため息をついた。
教室の窓を開けると6月の終わりのじめじめとして蒸し暑い空気が肌にまとわりついてきた。
そしてなんの面白みもない風景を俺はただひたすら見つめていた。
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