2 記憶

7/11

15人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
ここは、どこだ。 俺は浮いていた。宇宙空間のような、美しい場所でただただ浮いていた。 周りには小さな星粒が数え切れない程輝いている。 しばらくその不思議な空間をさまよっていた。 どこを見渡しても星だらけだ。 すると突然どこからともなく声がした。 「......は大丈夫だよ。」 目を凝らして前方を見ると光の中に少女のシルエットが見えた。 「誰だ......?」 美しく透き通った声。 なんて言ったのかははっきりと聞こえなかった。 少女は俺よりももっと先の空間を、ゆっくりと歩き出した。 「待って!」 咄嗟に俺は叫んでいた。 少女の後を追うように必死に手足を動かす。 しかし、いくらもがいてもダメだった。 どんどん先を行く少女には追いつけなかった。 次の瞬間、美しい空間が歪み始めた。 どんどん宇宙空間が崩れだして、止まらない。 そしてぶわっと眩しい光に身体が包まれて、何も見えなくなってしまった。 俺は眩しさのあまりぎゅっと目を閉じた。 次に目を開けた時、俺は暗い部屋で1人仰向けになっていた。 焦って時計を見る。 時計の針は午前3時を指していた。 「なんだ、夢か......」 安心してふぅーっとため息をついて、俺はまたベットに横になった。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加