2 記憶

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ピピピピッピピピピッピピピピッ。 スマホの目覚まし音が痛いくらいに部屋に響く。 俺は停止ボタンを押して、ベットの上で背伸びをした。 午前6時。学校に行く日は決まってこの時間だ。 「海陸ー朝ごはんよー!」 お母さんが呼んでいる。 結局あれからあまり寝付けなかったようで、少し体がだるい。 「休むなんて出来ないなぁ」 受験生だし休むと授業に追いつけなくなる。 (バスで少し寝よう......) 俺はまだ眠い身体を起こしてリビングへと階段を降りていった。 午前6時45分。俺は全ての支度を済ませて家を出た。バス停までは三分ほど歩かなければいけない。 「おはようございます」 俺は犬を散歩中のおじさんに挨拶をした。 「行ってらっしゃい」 このおじさんはいつも俺に笑顔で挨拶を返してくれる。 おじさんの年齢は30代、40代くらいな気がするが、それにしても犬が可愛い。 6時50分。 バス停に着いた。 俺は他の学生とバスが来るのを待っていた。 俺の家から学校は結構距離がある。 通学バスはいつもすぐにいっぱいになってしまうけど、そのバスで行かないと学校の登校時間に間に合わないので仕方がない。 6時53分。ようやくバスが来たので俺は重い荷物を抱え、急いで乗り込んだ。 バスのアナウンスが暗い車内に響く。 今日は人が多すぎるのと、席の数の関係で座ることが出来なかった。 昨日眠れなかったからバスで寝ようと思ったのに......。目の前でうとうとしている人が羨ましいぜ。 いつもはなんてことないバスの振動が今日は少しだけ強く感じた。 しばらくして、バスは終点に着いた。 運転手の合図と同時にみんなが一斉に動き出す。 俺も順番が来ると、荷物を抱えてバスを降りた。 ずしりと重いリュックを背負って急な坂町を登っていく。 何故かいつも登っているはずのこの道がとんでもなく険しいもののように感じる。 (今日は部活がある!ここでくじける訳には行かない!) 自分でも訳が分からない精神論で、なんとか坂道を登り切り、やっと学校の靴箱にたどり着いた。
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