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おまけ2
はい、おまけ第二弾まで読んでいただいて、ありがとうございます!
前回のおまけ第一弾に引き続き、第二弾です。
前回は登場人物について語りましたが、今回は、物語内の設定や作成時のちょっとしたお話までしていこうかと思っております。
なお、このおまけには、多くのネタばれが存在します。
ので、ぜひ本編をご覧になったうえで読んでいただけると嬉しいです。
それではどうぞ。
■吸血鬼について
はい。本作の重要な設定といえば、これしかないですね。
とはいえ、作中でほとんど語ってしまっている吸血鬼のこと。
もしかしたら本編と被るところがあるかも知れませんが、そこは気にしないでいただけると嬉しいです。
さて。
この吸血鬼ですが。
作中にもある通り、第二次世界大戦中に生み出されました。
生み出した理由は、生物兵器として利用するため。作成したのは、敗戦国連合の中の某国。どこの国か概ね想像出来ている方もいらっしゃるでしょうが、そこはシークレットでお願いします。さすがに少し恐いので。
吸血鬼を生み出すための人体実験では、それはもう多くの人が犠牲となりました。ある者は戦争時の捕虜であり、ある者は、敗戦国連合の国より実験体として献上された者でした。
敗戦国連合各国も、戦争で勝つためには決定的な武力が必要と考え、某国に実験体を多く引き渡したんですね。
その結果、万単位の死者を出し、約二〇〇人の吸血鬼が誕生したわけです。
ちなみに、その二〇〇人の吸血鬼のうち、なんと日本人が七十人も占めていたのです。これは単なる偶然ではなく、敗戦国連合の中で一番多くの実験体を献上したのが日本だから。
当時の日本は、石油の輸入を、戦勝国連合の某国に頼っていました。ところが、その国と敵対することにより、当然ながら自国の戦力が大きく削がれることとなります。そりゃそうだ。
んで、自国の戦力増大を、石油ではなく生物兵器に賭けたわけです。
ちなみに、吸血鬼を生み出す実験は、その後成功することはありませんでした。同様の投薬をし、同様の施術をし、同様の環境に実験体をおいても。
生物が変化する要因は、多岐に渡ります。外敵、気候、湿度、気体の状況、その生物の資質、などなど。
吸血鬼を生み出した実験は、多岐に渡る要因が天文学的な確率でマッチし、奇跡とも言える偶然により成功したのです。そのため、成功理由を突き止めることもできず、現代においても再現は不可能だと言われています。
とにもかくにも、奇跡が起きて実験は成功し、日本は、他国よりも圧倒的に大人数の七十人という吸血鬼を保有することとなりました。
が、ときすでに遅し。戦況を覆す希望など持てない状況であり、吸血鬼を実戦投入することなく終戦となったわけです。
間抜けな話ですが、現実なんてそんなものです。
まあ、フィクションなんですがね(身もフタもない)
そして。
戦いや実験により、多くの人が犠牲になった戦争。
ところが、悲劇はそれだけでは終わりません。
戦争の産物として生み出された吸血鬼は、まさに怪物。戦争という使い道がなければ、ただの脅威でしかありません。当然のごとく、日本政府は、全員処分しようと試みました。
ですが、戦勝国連合や、戦後に発足した国際連合がそれを認めません。
そんなわけで、敗戦国連合は、自国出身の吸血鬼を自国国内で管理することとなったわけです。
オリジナルの吸血鬼の中には、自分の境遇を嘆いて犯罪行為に走る者もいました。その者達は、政府が指揮を取り、他の吸血鬼を使って捕縛しました。その他の吸血鬼達が政府の指示に従った理由は単純で、自分の家族を人質に取られたからです。政府によって。
ちなみに、このときに捕縛された吸血鬼達の処刑映像が、現在の吸血鬼の教育に使われているわけです。
こんな暗黒過ぎるほど暗黒な歴史を残し、吸血鬼は現代まで生き延びました。その血を、時代とともに薄めながら。
なお、政府の監視対象となる吸血鬼の濃度は、五パーセント以上。それ未満の濃度の吸血鬼は大きな害がないとして、監視対象から外れます。
もっとも、終戦からまだ八十年足らずですので、そんな濃度の吸血鬼は存在しません。
――と、まあ。吸血鬼の歴史はこんな感じです。
この物語はフィクションですが、戦争には莫大な犠牲が払われ、かつ、人権や人命など綿毛レベルで軽く扱われるあたりは、割とリアリティを含めて考えたつもりですが。
どうでしょう?(笑)
■本作について
はい、この物語の誕生秘話です。
まあ、秘話と言ってもそうご大層なモノじゃありません。
前作長編『心を縛るXXX』を完結させた後、一布は、チョコチョコと短編を書いたり、五万字程度の中編を書いたりしていました(後々投稿しようと思ってます)。
短い話を深みを持って書ければ、長い話はもっと深みのあるモノが書けるのかなぁ――という、それはもう短絡的な発想のもとで。
そんな日々を過ごすうちに、ふと、長編の結末が思い浮かんだのです。
――主人公とヒロインが両想いにならない話を書きたい!
発想がこれですから、陽向の失恋は、登場人物や物語設定ができる前に決まっていたんですね。まさに、失恋するために生まれてきたメインヒロインです。
ひどい話だ。
ってか、ひどい作者だ。ゲスの極み作者、みたいな(笑)
まあ、それはともかく。
そんなわけで、考えたわけです。じゃあ、主人公と深い縁がありながら、それでも主人公に恋愛感情を持たれないヒロインって、どんなんだろう、と。
ここで主人公がフラれることを考えないあたり、一布の願望が透けて見えますね。つまり、モテる男になって、それでも一人の(ヒロイン以外の)女の子を想い続ける格好いい男になりたい、みたいな。
まあ、それはともかく。
では、主人公と仲がよく、それでいて主人公に恋愛感情を持たれないヒロインとは。
考えた末に思いついたのは、主人公に尊敬されているが故に恋愛感情に発展しない、という。
結果として、陽向は翔太を助け、助けられた翔太は陽向に憧れるという図式が生まれました。
そこからさらに考えたのが、今度の主人公は主人公らしい主人公にしよう、と。つまり、前回の「おまけ1」でも書きましたが、主人公によって物語が展開し、主人公によって解決に向かう。そんな物語の主人公にしよう、と。
そうすると、あらびっくり。翔太君がどんどん男前になっていくんですね。頭脳明晰、さらに強く、一途にサブヒロインを想い続けるという。
そんな物語に必要な要素として吸血鬼という設定を加え、混ぜて、こねて、レンジでチンしたら、この物語ができました。
前作『心を縛るXXX』は悲しい境遇の人達が集う物語でしたが、本作についてはひと味違った感じになったかと思います。
ちなみに、本作に登場した五味君。実は、上記の作品にも登場しています。もちろんクズ野郎として。
※同姓同名なだけで、もちろん別々の人物です。
本作の五味君は、前作以上に思った通り書けました。今回の五味君はとってもお気に入り。生き様から死に様まで。彼は一布作品のスーパーアイドルです。もちろん悪い意味で。
なお、過去の五味君も大活躍ですので、よろしければ見てみてください。作品を読み終わったとき、「全ての不幸はこいつが運んでるんじゃねーか!」くらいな気分になれます。たぶん(笑)
はい、そんなわけで。
最後の最後にスーパーアイドル五味君を語り、この物語は終幕にしたいと思います。
また長編を書くときには、やはり五味君は登場させたいと思ってます(笑)
いやいや、五味君はおいといて。
こんなところまで読んでいただき、本当にありがとうございました!
そしてよろしければ、また次回の作品もよろしくお願いいたしますm(_ _)m
一布でした(はぁと)
※なお、本作サムネイルは近江 一穂様よりTwitter上でいただいたものです。この場を借りてお礼申し上げますm(_ _)m
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