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白い夢
いつも見る夢は、白い世界の中に、私だけが取り残されているかのようで。周りを見渡しても、誰も居ない、何も無い、風景すら無い。ただ、白い空間に私はポツンと一人、佇んでいる。
「おはよう、亜美」
目が覚めると、横にはいつもあなたがいる。私の愛する孝之。唯一の伴侶で、人生のパートナーだ。
コーヒーの香りが漂う中、あなたはいつもトーストをかじり、慌ただしく家を出ていく。
「今日のゴミはこれだけ? じゃ、先に行くから!」
あなたは家事にも協力的で、とても思いやりがあって優しくて、そして何より、子供が出来ずにふさぎ込んでいた私を、とても柔らかい空気で包んでくれる。
「さてと、私も仕事に行く準備をしなくちゃ」
私は近所の専門学校で週に四日間事務のパートをしている。孝之は都内で営業職に就いている。私のパートは九時から十六時なので、時間には余裕がある。
「まずは朝ドラを見ながらメイクね……」
いつもの朝、いつもの行動、いつもの仕事、いつもの日常、いつもの私達。今日だって、そうなるはずだった。
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