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「平山さん、頼んでおいたプレゼン資料の装飾終わりましたか?」
「あ、はい課長。先ほど終わらせて共有フォルダーに入れておきました」
「ありがとう。平山さんはセンスが良いから、いつも助かるよ」
「もったいないお言葉をありがとうございます。これからも頑張ります」
いつもの職場でいつもの社交辞令。社会とは、本音と建前が交差する場所だ。
その時、外線のベルが鳴った。
「はい。〇〇専門学校です。え? 平山? 平山は私ですが……」
電話の主は、まさかの警察だった。
「え!? 主人が刺された!? 通り魔!?」
────孝之が通り魔に刺されて救急搬送された。
私は脳みそをハンマーで殴られた様な感じがした。心臓が止まりそうで呼吸が上手く出来ない。今、私達夫婦に何が起きているの?
「平山さん、すぐに病院へ行って! 仕事は僕達で何とかするから!」
「あ……か、課長。ありがとうございます……私、私……?」
「しっかりして平山さん! きっとご主人助かるから! 危ないからここからタクシーで向かうんだよ。今、主任がタクシーを呼んでくれているから!」
私は主任が呼んでくれたタクシーに飛び乗って、孝之が搬送された病院に駆け付けた。
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