ギフト

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 上新大学吹奏楽部の合宿と果夏の旅館でのお仕事は順調に進み、明日はもう最終日である。  最初の頃は楽器のパートごとに別れていた練習がほとんどであったが、合宿後半は全体で音を合わせて練習している時間が長い。  今は果夏も知っている有名なアニメ映画のメドレーが鳴り響いている。  吹奏楽って難しいクラシックとかを弾いているのかと思っていたけれど、上新大学の吹奏楽部では耳慣れたポップスなんかも割と多い。 「 そりゃあ、オーケストラではないからね。吹奏楽は小難しい曲よりも観客を楽しませる選曲が多いんんじゃないかな。」  健太はそんな風に言っていた。  時刻は間もなく15時になる。  果夏は大広間横の縁側に腰かけている。  日差しは強いが、意外と湿度が低く風が心地よい。  健太は今日も海で本気スイミングをしている。  初めて会ったときも日に焼けた精悍な印象の男であったが、もう、今は真っ黒に日焼けしている。  吹奏楽の音が鳴り止んだ。  休憩に入ったみたい。    祖母がいつも冷たい麦茶とお茶菓子を用意していてるが、今日は清ちゃんのとこからスイカを分けてもらって、学生さんたちに振る舞っている。  部長の南川が果夏の分のスイカも持って縁側にやってきた。   
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