ギフト

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 健太が海から上がってきた。  もう、晩御飯の準備の時間だ。今夜は吹奏楽部のみんなの最後の晩御飯だから、少し豪勢にするって祖父が言ってたっけ。 「 どうした?」    笑顔の健太。  真っ黒な顔に真っ白な歯が印象的だ。 「 うん、何でもない。」    素っ気なく応えてしまった。  どうしよう。  気まずくて健太とうまく話せない。  晩御飯の配膳も、自分達の食事の時間も、御膳を片付けのときも。  言いたいことが沢山ある。  聞きたいことも沢山ある。  余計なお世話しないでよ!  いや、色々配慮してくれてありがとう。  あんたに何がわかるのよ!  居てくれて本当に助かったよ。    あぁ、頭ん中がごちゃごちゃで考えがまとまらない。  逃げるように自分の部屋に戻り、ベッドに身を投げた。
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