1/7
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/82ページ

 昔々、神々と人とが曖昧な関係にあった時代。  特に神に気に入られ、特殊な力を与えられた者の一族が、いくつか存在した。  ひっそりと、その血を紡いでいた一族たちは、時を追うごとにその力を弱まらせ、それに焦りを覚えた種族が弱くなった種族を吸収することで、更にその数を減らしていた。  その問題の種族も、そんな一族の一つだったが、数を減らさざるを得なかった事情は、少々異なった。  彼らはただ一度、伴侶と決めた者以外とは、子を望まないという、少々厄介な取り決めをしている一族だったのだ。  伴侶と、子を作る前に死別してしまえば、その子孫は途絶える。  その為に、彼らは絶滅の兆しがあったのだが、それより前に滅びる事となった。  その原因は、とある種族との抗争だった。  戦闘民族でもあったその血を求め、突如襲い掛かった種族は、様々な力を駆使して力任せの種族を叩きのめしたのだ。  そして、種族の族長の娘を連れ去ったと、伝えられていたのだが……。
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!