絶滅危惧種

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「では、一度所に戻りましょうか」  当たり前かのようにさらっと言ってのけるまさみさんに感心していると、ネズミのような小動物が私の足元を駆け抜けていった。 「きゃっ!?」  さっきまでの事もあって私は少し大げさかなと後々思ってしまう位に飛び退いてしまった。でも、少し距離もあったせいかまさみさんは冷静だった。  まさみさんはソレに気が付くと、ソレに向かって急に走り出したのだ。 「あ、リスさん!待って~」  よろめいてこけそうになった私には目もくれず、大声を挙げながらそのリスを追いかけていったまさみさんの姿をみて、それまで向けていた尊敬のまなざしが呆れの眼差しに変わってしまう。  当然リスの足に敵う訳もなく、あっさりとリスを見失ったまさみさんは冷静な表情で私に向き直った。 「さ、戻るわよ」  そのギャップに呆れを通り越して吹き出しそうになるのをこらえながら、私はまさみさんの後に続いた。後に在来種の保護と外来種の駆除という、同じ命に対する扱いに苦しむことになろうとは、この時は思いもしなかった。  何気に来た道を振り返ると、リスを追ったまさみさんの足取りは、あれだけ夢中に追いかけながらもしっかりとクララを避けていることに私は気付いたのでした。
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