古村市生活環境課

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古村市生活環境課

 私は輪多(わだ)ゆきこ。ここ古村(こむら)市で産まれ育って、この春で三十九年になる。七年契約で古村市役所の生活環境課の臨時職員になったのが一昨年の四月。春と言っても私の生誕日は五月某日で、ゴールデンウィーク前の今はまだ三十八歳だ。  生活環境課の業務は、ゴミ処理、市内の衛生管理、飼い主不明のペットの遺体回収などその業務は多岐にわたる。  そんな私に課せられた業務は『不法投棄ゴミ及び特定外来種の探索』で、主に市内を車で移動しながらの見回り、また通報があれば現場に赴いての確認というのが主な一日の仕事だ。  ただゴミの回収や外来種駆除をすればいいという訳ではなく、発見した場合や通報を受けて現場に付いたら、まずは係長にメールで画像を添付して指示を仰ぐことになっている。  入所して最初の一年は、実際の作業は力仕事になるということで市の男性職員さんが回収や駆除を行ってくれていたが、慣れてきたという表向きの理由と、実は私が水泳をしていて腕力もあるという裏の理由?もあってか、ただパトロールだけしていればいいという訳にはいかなくなった。  つまり私自身も回収や駆除に参加するようになったのだ。でもそれは私自身望むところではあった。やはり現場で実践・体験してみないと分からない事って結構多いのだ。  私の上司にあたる係長、尾澤(おざわ)まさみはとても優秀な職員で、後に市長補佐にまで上り詰めるのだがそれはまだ先の話。良く分からないけれど超エリートらしく、他の職員からも一目置かれているそうだが、私に言わせれば「はあ?」なのである。  今回はそんな尾澤さんの、私しか知らない裏の顔の話をしようと思っている。
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