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日常・・
◯月✕日(1)
瞼を開けると父母妹が朝御飯を食べている。
「ナツミ、早く食べないと遅刻するわよ。」
「あ、うん。」
「お姉ちゃん、まだ寝惚けてるの?私先行くね。」
妹は笑いながら玄関へ姿を消した。
私も朝御飯を食べた後、身支度を済ませ家を出る。
見覚えのある道、見覚えのある空。いつもの風景だ。
けれどふと、何か違和感を感じる。それが何かは分からないけど。
腕時計を見る。この腕時計は・・・知っている。いつも身に付けていたブランドの時計。ブランドの時計?!高校生の私がブランドの腕時計を身に付けている??
そう考えているうちに意識は遠退く。
◯月✕日(2)
「ナツミ、お父さんの知り合いがS福祉大学にいてね。良かったらと推薦状が届いているんだがどうだ、受けてみないか?」
「お父さん、気持ちは嬉しいけど私H大学を受けたいの。ごめんなさい。」
「いや、いいんだ。ナツミが受けたい大学を受けなさい。お父さんの知り合いには断っておくから。」
「お父さん、ありがとう。」
「お姉ちゃん、H大学を受けるの?前から歴史好きだったもんね。私には無理だなぁ、あそこレベル高いし。」
私も父も妹も笑っていた。温かな日常。
ふと、腕時計を見るとブランドの腕時計を身に付けていた。
この腕時計・・・。
「お父さん、私が身に付けている腕時計って・・・」
そう言っているうちに意識は遠退く。
◯月✕日(3)
「ナツミ君、この資料をまとめておいてくれないか。」
「分かりました。」
私はH大学の研究員をしている。
H大学にはそこそこの成績で合格したものの、ある論文が忘年会教授の目に止まり現在に至る。
歴史に興味を持ち始めたのは亡き祖父が先祖の歴史を誇らしげに語っていたことがきっかけで本当にそうなのかと確かめてみたくなったためだった。
自分の事を知りたければ先祖のルーツを辿れってね、よく言うでしょ。
「あれ、ナツミさん。素敵な腕時計してるんですね。某ブランドのやつでしょ。彼氏からのプレゼントですか?良いなぁ。」
ふと、腕時計を見るとブランドの腕時計を身に付けていた。
この腕時計は・・・。
同僚に返答しようと席を立ち上がろうとすると意識が遠退いていく。
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