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「だ、誰も斗鬼を奪うななんて言ってないわよ!だいたい私は斗鬼の伴侶なんかじゃないわっ」
「えっ?そうなんですか……?」
彼女の寸分狂いのない容貌を見る限り、これまた端正な斗鬼さんと並んだらさぞお似合いだろうなぁ……と思っていたのに。
彼女はふっと顔を翳らせると、独り言のようにぽつり。
「……不死川の分家、鬼城の身である以上、私はあくまで部下なのよ……」
その言葉に、私はすごく、胸を締めつけられる。
何でだろうって考えて――同じなんだってことに気づいた。
鬼城さんはきっと、自分と斗鬼さんの間にそびえ立つ壁が、怖いんじゃないかな。
私と燈矢のような、超えることのできない身分の差が。
「……斗鬼と何もないなら、もういいわ。このことは忘れてちょうだい」
「あ、あのっ!」
私の呼び止めに顔だけで振り返った鬼城さんに、私は気づいたら口にしていた。
「あのっ、良ければ、同盟を結びませんか――?」
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