第七話 乳母とようかん

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「捕まりおったか、しかし困った」 「これではメルクが入ってこれませんね」 お茶でもお入れいたしましょう。とお茶を入れる音がする。 「いや、王妃が勝手にやるであろう最後はあいつの首を送ればよいだけの事、北も何をしている、さっさと落とせばよいものを」 「まだがんばっているようですね、お茶です」 「メルク王がすべて手にしたのち全てをいただく手はずは整っているが、何せ食料が足りぬ」 え? 「ええ、白い狼になったのはよいのですが、王都のどこも、今年は、豊作だと聞いたのですが、小麦が少なくて、どうしたことか?」 「なにが豊作なのだ?」 「馬のエサです、それを食べているものがいると聞いていますが、何せ、辺境の地での事ほおっておきました」 「馬の餌、ほお、それを兵士に与えてはどうだ?」 「ああ、それは良い考えですね、そういたしましょう」 「慎重に動けよ、どこでネズミが見張っておるかもしれぬ」 それにドキンとしました、見つかった?いいえ、ここは大丈夫、兄王子様を信じましょう。 「それとは別に、黒髪の女は見つからぬのか?」 「候補はおりますがなかなか」 「エルージュの女はいかがした」 「第二皇子が死んでどこかへ行ったと最後の報告では聞いておりますが」 え?私?なんで? 「まったく、兄の子を育てたのは私だぞ、まったく、偽装までして、息子として入れ替えたのに!まあ良いか、せっかく魔女が現れたのに残念よの、くくく」 「王様、それは口が裂けても外には漏らされませんように」 「わかっておる、なにが千年ののち呪いによりこの国は滅びるだ、そのような世迷言を信じるから、兄者は弱く私に歯向かえなかったのだ。この国はこれから栄えていく、女は捨てるほどおるのだ、後は、頼むぞ」
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