第二話 卵粥

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第二話 卵粥

女一人だと危ないと言われ今日もアレンを連れてきた。 ただ今日は、あの子たちのほうだ。入り口の階段に座り込んでいる子達。 「おはよう」 「あ、お、おはよう」と沈んだ声。 「ちょっと聞きたいことがあるの、教えてくれる?昨日帰りに男たちにお金を渡してたでしょ?あれは何?」 「え?あれは」 「証明証がないからだよ」 なんで? なんでって。 あの人がいるのに?なんで? あの人? ダニエル。 できるのか? ええできるはずよ、なんでかな? 子供たちは顔を見合わせて、すぐに教会の中へ入ると大声で、ダニエル出てきやがれと言っています。 その話をすると、ダニエルさんは驚いた顔をしてそれ本当かと子供たちに尋ねました。 どっちだよ! 金だよ、いくら取られてる! これだけと言っています。 バカヤロー!なんでもっと早く言わなかった。 だって知らなかったんだもん。 だから金がないって、材料費ばっかりかかって、もう! 「なに言ってんのよ、悪いのはあんたでしょ、大人が子供守らなくてどうすんのよ!」 あ、昨日の。 昨日のじゃない、あんた仕事ちゃんとしてるの?商売人、適当にあしらってんじゃないの? 「だって」と口をタコのようにした。 「だから出て行ったのよ、もう、ちゃんと仕事しなさいよね、もう、アレン」 なに? マルコとレナ以外、こっちによこして、それとあんたたち今日はお店休んで。 え? いいから。 「今から、掃除、それと教会業務をちゃんとします、ダニエルさん、誰でもいいから、グッドマン一人連れてきて」 えー! エーじゃない、これ、わかるわよねー、私たち、一応見習いなんですけどー。 そこにはマスターからもらった教会見習いのカード。 「はい、すぐに、お前ら掃除して。この姉ちゃんのいうこと聞いてくれ」 早く行け!とお尻を蹴ってやった。 「はいー」 「さて、これからは、あんな場所でしなくてもいいわ」 「でもどこですればいい?」 いい場所があるから。 そしてやって来たみんなは、その惨憺たる教会の中を見て、腕まくりをしたのだった。 マルコたちには、不動産屋さんに、一日待ってほしいと頼んだの、場所は決めた。 「ただだね」 「いい場所でしょ?」 「さすがー」 「任せなさいって」 「あのー」 「できた?」 「本当にいいの?」 「いいのよ、いや?」 ううんと首を振る子たちです。 昨日は三人だったけど、今日は四人いるそうだ。本当はもう一人いるんだけど、具合が悪くて寝ている子の看病に上に行っているという。 彼らはどこに住んでいるのか聞いたら、ここの屋根裏だというのだ。 降りて来た子は、うるせーな、なにしてるんだ?こいつら誰! その時です。 「モーラ?」 え? 「やっぱり、お兄ちゃん、モーラ、モーラだよ?」 「モーラ、生きてた!」 「え?アレンか?じゃあ、お前レナ?」 ウワーと抱き合う三人です、間違いじゃなかったと泣きながらの再会です。 二人にあったのは、王都の北を城壁に沿って東に向かっていた時の事でした。 言葉がわかってから聞いた二人の話は、腹が立ってしょうがなかったのを思い出します。 彼らの父親は兵士でした。 多くの兵士たちが家族を連れ北へ向かいました、家族を連れて行った?それに違和感を覚えました。 王妃が戻ってきたらいい暮らしをさせてくれるというので行ったらしいのですが、彼らは北へ侵略するコマに使われただけなのです。 ここに住めと言われた村は、人もいなくて、ただ家とかはもう、あったそうです。後で考えたら、そこはメルクが襲った後の村でした。 彼らはそこへ住むことで、北から攻撃されてもいいように、家族を連れていかされていたのです。 それだけならまだしも、メルクからも襲われることになったのです。 人身御供、人質です。 親たちは子供たちを逃がすのに必死で、ほとんどの大人が殺されてしまったそうです。 子供たちは着の身着のまま逃げ帰ってきました。ですがそこではもっとひどい仕打ちが待っていたのです。 彼らの家はとうに売られ、戻って来ることが出来ないようになっていたのです。それだけならまだよかったのですが、難民と同じにされ、王都からも追い出されてしまったのです。 行く当てのなくなった子供たちは、旧王都へ行けば、王様のもとの王妃様が守ってくれるといううわさが立ち、流れていったのもいるそうだ。 もうその時には、王妃様は亡くなっていたのに気が付きもしないで。 ただ、アレンとレナは、マルコやセルと仲良くなってついて来た。 それだけだ。 歓んで興奮状態の三人を見ながら、私達はそれぞれがすることをし始めた。 彼らにどうやってスープを売っていたのかみせてもらいました。屋台とはなまえだけ、車の付いた箱の中に鍋を置き、食器を入れているだけのものでした。 赤字続き、寒くなってきて仕入れもままならなくて、どうしようかと思っていたと言います。 場所は最高の場所です、なんて言ったて教会の前ですからね。いざとなったら、教会と切り離せばいいんです、前の教会と同じようにね。
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