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息が白い。大分寒くなってきた。
この建物は三階、屋根裏があり石でできたしっかりした建物だ。
煙突掃除をするために屋上がある。
そして。
「よし、しめて」
次々ふたが絞められます。ここにあるのは冷蔵庫と冷凍庫なんです。
煙突掃除か、何かにつかえそうだな?
辺りを見回しました、たった数年で、この大都会。
何もない所だったから作りやすかったんだな。
そう思いながら、高い建物が並ぶ街を眺めていました。
一週間かけ、教会の仕事ができるように掃除をしました。
二階、三階にある不用品は本来、ちゃんとした保管場所で管理するものです。
使われていない、倉庫と言って連れてこられたのは、ワンブロック離れた場所にある同じ建物。もう一つの建物に、ブー、ブーの私たち。
週末、兵士たちが来て手伝ってくれました、もちろんお目当ては食事です。
うめー。これこれ。
もう、こっちに戻ってきたら今までの飯が食えなくて―。
はいはい、いっぱい食べてくださいね。
一週間、それはとてつもなくあっと今に過ぎた。
ヒロには、言葉の分からなかった私と過ごした日の事を聞いた。
石を投げられたのは、黒い髪のせいだった。
黒髪の人はほとんどいない、見つかったら殺されていた、特にメルクは黒髪に偏見を持っていて、黒髪だというだけで弾圧を受けていた場所があったほどなんだそうだ。黒い髪を持った人はもっと北か西の海を渡った国に行かないといないという。それに、戦争をしていたメルク国の第三妃、黒髪の子供を産んだとうわさがたったから余計にだ。
(第一皇子は、うわさで終わらされたのか。かわいそうに)
それにあの時私は、ボロボロの布の上に加工していない毛皮をぶら下げただけ、どこの先住民族だろうと、みんなが警戒した。
そういうことか。
言葉もそうだったし、食べているものも、野蛮で近づかない方がいいと言われていた。
アー、生肉、そりゃあそうだわな。
あの時、人に絡まれ、大勢の人に袋だたきにあい、そこから助けてくれたヒロ、お礼は何もできなくて、食べ物でお返しした。
それだけの関係だ。
「なあ、また出たんだろ?」
「ああ、南の方にな」
まるでル・ラータのまねだと言うが、そんなかわいい話じゃねえ、白い狼は人殺しも平気でするんだ、あれは捕まったら処刑だ。
昼に兵士たちの話を聞いていました。
ヒロとモーラに白い狼って何と聞いたら盗賊だと言いました。
南の穀物問屋が狙われたそうです。
ふーん。
何を盗んでいるのかな、穀物なら食べ物?
嫌そうじゃないという、ル・ラータの話は王都でも吟遊詩人たちがそのあっぱれな話を聞かせてくれているけど、白い狼は手あたり次第、人も殺すし、襲われたところは、家の中は荒らされて、金目の物はすべて持って行く。
だから、ル・ラータの話は夢物語のようだと二人は言っていた。
「ル・ラータは誰なのかわからないだろ?」
「ネズミの絵があるだけで見た人はいないって聞いてる、でも」
でも?
白い狼は若い男や子供だって聞いてる。
「一人、二人じゃないってことね」
うん。
そうだな。
模倣犯?ここに来るまで聞きもしなかった、白い狼。ブラム亭の主人が教えてくれたのはこのこと?王都だけで活動か?
私たちは十時から二時までスープ屋をして、交代であちこち見て回りました。ある程度の場所を頭に叩き込み、王宮へも足を伸ばしました。
「ここがお城?」
「なんか変」
「何が変?」
「エルがいる所のほうがきれい」
そうよね、何だろう、この違和感?だだっ広い場所に立つ古い三階建て、こっちが古そう。城壁も低くて中に簡単に入れそう。
兵士たちに聞いたのはだいぶ突貫工事で作ったもので、王子たちがいた、場所は、あばら家のようなところだったそうだ。
ふーん。
地図は手に入れた、これは兵士たちが手伝ってくれたものに細かく指示を入れたもの、どうぞ入ってくださいと言わんばかりにチェックを入れていく。
「ここが王妃の部屋だ」
「一番広いんじゃない?」
ああ、こうしてみると大きさがわかるなと感心しています。
下水施設はあるんですか?
ここにはない、なにせ、井戸も飲めない所が多いから、水も買いに行くというのだ。
まじか?
下水はないから、ある程度ためた物を組み井取りやさんが取りに来る、これは王様がしているから、安いらしいのだが、あまりいい環境ではないらしい。
そうなんだ。
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