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ウサギの真実の名前と暗示
最近ラビが隠れて何かに没頭しているようだ。
何をしているのか聞いても
「何でもありませんわ!」
と、教えてくれない。
全く何をしているのやら。
それにしてもココ最近ラビの薬学の勉強も随分と頑張っている。
最近では精霊達とよく話す姿さえも見る。
あまりの成長ぶりに素質があるだけではないだろう。
生まれが違ければかなりの凄腕の魔女になっていたのかもしれない。
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風の精霊からの情報で同胞達が次々と魔女狩りにあい、拷問と処刑されて行っていると聞いた。
惨たらしい事に幼い子供までもがその餌食にあったらしい。
何が聖女だ。
正義を振りかざした殺戮者と変わりないではないか。
魔女と言うだけで次々と殺して、お前らの世界の自然を誰が管理していたと思っている。
誰が今まで流行した疫病をこれ以上広がらせない為に抑えてきたと思っているんだ。
「ご主人様?」
珍しく荒れていた自分にラビが驚いた顔をしている。そして、心配させてしまった。
「····大丈夫よ」
この子は人間で本当はこんな所にいる娘では無いと言うのに私はソメイの森に歓迎されていると言うだけで彼女をここにいる事を許してしまった。
彼女がここに来てもうすぐ二年。
随分と早い月日が流れた。
「····ラビ」
お前はいつでもこの森から出てもいいと、彼女に言う。
しかし、ラビは決してここから離れないと言った。
「ご主人様の傍にいる事が私の幸せですもの」
「けれど、お前は····」
ルシアン・ケンブリッツ公爵令嬢。
それが彼女の真実の名であり次期王太子妃だった。
今は死んだ者としてきっと婚約破棄はされているだろう。
しかし、行方不明だった彼女が魔女に誘拐されていたと言う事にすればきっと保護はされても殺されることは無いはずだ。
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森が荒れている。
ソメイの花は散り、風が吹き荒れる。
「ご主人様!」
ラビが何事かと叫ぶが、あえて私はボロボロの服を着させて鎖で彼女を繋いだ。
「良いかいラビ」
----ここでの事は全て忘れろ。
「·····ご主人さ····」
私はあえて彼女に暗示をかけて眠らせた。
もうすぐここに聖騎士がやってくる。
元王太子妃候補であるルシアン・ケンブリッツを監禁していたと知れば大罪人として裁判をかけることなく処刑台に立たされるだろう。
まぁ、多少の拷問はされてしまうだろうが致し方ない。
ラビを····
ルシアンを誘拐した事は間違いないのだから。
「可愛い私の弟子よ····」
お前だけはどうか、生き延びて欲しい。
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