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はじめに
どうも、牡牛座六白と申します。
よろしくお願いします。
あらすじ
三人の子供たちがそれぞれ別の施設で暮らしていて、突然親だと名乗る大人が迎えにきます。
戸惑う子供たちを尻目に、過密状態を解消しろと役所のトップの政治家から命令を受けている施設は、身元調査などろくに出来ないまま、迎えにくる親たちに子供を託していました。
子供を無事に引き取った親たちは、政治家の秘書と施設に子供が成人するまで毎月多額の寄付金を渡すことが通例となっていました。
地検特捜部がこの寄付金教唆事件に政治団体が深く関与していることを突き止めています。
それでは本編を書いていきます。
「釈放される篭の鳥」
施設に、私の両親と名乗る全く知らない中年のおじさんとおばさんが私を迎えにきた。
中年のおじさんは肌が白く、お腹がデップリと出ていて、おばさんは趣味の悪いギラギラと光る宝石を身にまとい香水臭く派手な服装だった。
おじさんが私を施設に預けた理由は、経営していた会社が新型コロナウィルスの影響で倒産してしまい、質の悪い金融屋から借銭をしていて、毎日の酷い取り立てで心が折れてしまい重度のうつ病になったそうだ。
このままだと三人の子供たちを養えないので、それぞれ別の施設に預けたそうだ。
これは秘密だがそうした方がスムーズに子供を預かってくれると、政治家の秘書からアドバイスを受けていたそうだ。
自分から秘密を暴露した肌が白くお腹がデップと出ているおじさんだった。
子供のことを考えているようで、全く考えていない身勝手な言い種だった。
おじさんは子供たちのためだと奮起し、昼も夜も働いて小さな建築会社を起業し、全ての借銭を完済し
まだうつ病は完治していないが、子供たちを迎えにきたそうだ。
悦に入って施設の職員に喋るこのおじさんの話しには、嘘しかないと子供の私でも見破れた。
迎えにきた高級車に、運転手と見知らぬ顔の男の子と女の子が乗っていた。
二人は何かに怯えブルブルと震えている。
急に生活環境が変わったから、かも知れない
どうやらこの震えている幼い二人が、私の弟と妹らしい。
趣味の悪いギラギラと光る宝石を身にまとうおばさんが私に話してくれた。
見知らぬ顔の胡散臭い両親と、弟とい妹がいっぺんに私の家族になった。
子供のいる子育て世帯には、少子高齢化がこれ以上深刻な問題にならないように、国に協力しているとし、子育て応援金として多額の補助金が国から支給されるようになった。
施設は書類さえ揃っていれば、簡単に子供を託してくれる。
どうやらその補助金を狙って中年の肌が白くお腹がデップリとしたおじさんとギラギラおばさんが、私たちを施設から引き取ったようだ。
施設で私は幼い子供たちの世話係をしていて評判が良く、その噂を聞き付けてまだ幼い弟と妹の世話をさせるために、私を引き取りにきたと施設の大人たちが噂話しをしていた。
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