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私たちは、練習を一週間に1回大会準備を別の日に活動をしている。
今日は上越さんの家で衣装を作る。
上越さんの家は裕福な人が住む地域にあり、ふわふわな犬を散歩させているマダムがあちこちにいるような環境だ。
上越さんの家に着くと内藤さんがインターホンを鳴らす。
「はい。どうぞ。」
上越さんの声とともに開いた門の先は、バラ園だ。
赤や黄色の花々が色々な形で咲いている。
良い匂いがする。
私たちは、大きな玄関を入り、宮殿のようなリビングに入った。
そして、上越さんの友人のデザイナーさんに採寸とデザインをお願いしていく。
上越さんは、ハーブティーを入れてみんなにケーキを焼いてくれた。
なんておしゃれな生活なのだろうか。
私たちは、おしゃれな空間で、ドクロとか、つのとか、パイプとか、生首とか、物騒な言葉を言っていく。
「楽しみだね。衣装。」
「主人も喜んでくれるわ。私と、コンサート行くのが楽しみだったから。」
高階さんは、涙を流した。
私は高階さんの肩を引き寄せた。
「うちの施設のお客様にはびっくりされちゃうかもね。角がでてるなんて、鬼ぐらいなものだからね。」
内藤さんは、静かに笑っていた。
何だか最近元気ないのかしら。
「内藤さん、大丈夫。」
私は内藤さんに声をかけた。
「大丈夫。只々、嬉しいの。みんな生き生き。かっこよくて。私が理想とした世界が目の前で動き出したことが嬉しい。」
私たちは、それからも準備を進めた。
それぞれの楽器をカスタムしていく。
図工の時間みたいに、絵の具をつかってペイントしていく。カラーテープを使ったり自分たちがかっこよくなるために工夫をしていった。
私が1番苦労したのが、ステージパフォーマンスだ。しかし、ボーカルの人ってすごい。
裸の付き合いとか、みんな愛してるとか、腹から声を出せとか。日常では使わないあらゆる言葉でみなの気持ちを揺さぶる。
私は、恥ずかしくてもじもじしてしまう。
「いつもキュートな、ドラムスじょーえつー。」
「シングル最高、たかしなー。」
「ひとに優しくかわかみー。」
「おいしい野菜の八百清、ないとー。」
「みんな、さいこーだぜー。」
私は頑張って声を出した。
「待った。待った。待った。
何だか、プロレスみたいだよ。
しかも八百清って。」
「さてさて、課題だね。みんなで考えよう。」
「いいんじゃない。その時の気持ちで。
心からワクワクする言葉がきっと正解だよ。
3曲しか発表できないし、山田さんの心の叫びに任せよう。」
みんながうなずいた。
私ったら責任重大だわ。
私はユウチューブであらゆる映像を見た。
ジャニーズまで見た。キラキラした少年たちは素敵だった。
私の心からの声はみんなに届くだろうか。
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