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   この時はちょうど夏日に近い暑さだったので、美月も学校から帰ってすぐに、シャワーを浴びようと思ったのではないか。そう考えた時、悠人の体の中を、何か甘酸っぱいような感覚が駆け抜けた。  悠人は慎重に天井裏を進み、脱衣所の天井に開けた、「階下が覗ける穴」の位置まで移動した。脱衣所に入った美月が、脱衣かごにタオルなどを置いているのがよく見える。もともと、そういったものが見えるように開けた穴なのだから。  そして美月はおもむろに、着ていたTシャツを「するり」と脱ぎ捨て、穿いていた短パンも脱ぎ捨てた。学校から帰って来て「ラフな格好」に着替えた後だったのだろう、すぐに下着だけの姿になった美月は、次に背中に両手を回し、ためらうことなくブラのホックを外すと。ブラの肩ひもを肩から降ろし、脱衣かごに「ぽい」と放り込んだ。  その動きとともに、美月の胸の膨らみが「ぷるん」と揺れ動くところまで、悠人は確認することが出来た。思わず唾を「ゴクリ」と飲み込み、その音が聞こえやしまいかと悠人が口を片手で押さえていると。続いて美月は唯一残っていたパンツもさっさと脱ぎ捨てると、脱衣所の中で全裸になった。  それは美月にすれば、家に帰って来てからの「ごく当たり前の行動」だったのだが、悠人にしてみると、当たり前という範疇を遥かに超えていた。持っているスマホは両親から買い与えられたもので「ペアレンタルコントロール」がかかっていたので、女性の裸などの画像を見ることは出来ず、せいぜいアイドルの水着画像くらいしか見れなかった。   それでもずっと引きこもり生活を続けていて、異性と話すどころか間近で見ることさえなかった悠人にとっては、水着画像でも十分に刺激的なものではあったのだが。いま天井裏の穴から見える美月のその姿は、悠人が初めて肉眼で見た、「女性の裸」そのものだった。
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