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 こうしてその日から悠人は、美月が学校から帰って来たあと、その後の行動を追うのが日課になった。美月の部屋の天井にも穴を開けてみたのだが、美月は誰も見ていない部屋の中で「だらしない恰好」はするものの、当然ながら服は着たままだった。着替えをするところを見るには、ずっと美月の部屋の上で待機するしかない。それよりも、誰かが脱衣所に入った気配がしたら、誰が入ったかを確認し。それからしっかりと「下を覗く」体勢に入る方が間違いない。  これは、天井裏を移動する際の目印として作った「階下を見降ろすための穴」が、思わぬ効果を生むことになった。最初に見た時のように、学校から帰ってすぐにシャワーを浴びることもあったが、風呂に入るのはほとんどが夕食後の時間だった。それも両親より美月が先に入る確率が高かったが、それでも両親の裸など、間違っても見たくなかった。だからリビングでの夕食が終ったあとに、風呂場までの天井裏から覗いて、「誰が入るのか」を確認すればいい。  こうして下準備を整えた悠人は、夕食後に美月が脱衣所に入るのを確認し、いつも以上に慎重に脱衣所の天井裏へ移動した。美月はぱっぱと衣服を脱ぎ捨て、浴室に入っていく。……さあ、ここからだ。悠人は自分が猫になったような気分で、手足の指先を立ててそろりそろりと、浴室の天井裏へ向かった。  浴室に入った美月は、まず洗い場でシャワーを浴び始めた。美月の肌に水滴が当たり、腕で身体のあちこちを軽くこする度に、豊かな胸の膨らみが揺れ動く。悠人はそれだけでも射精してしまいそうなくらいに興奮していたが、ここでも片手で口を押さえ、唾を飲み込む音や荒くなった呼吸が下に聞こえないよう、注意しながら浴室を見続けた。  ボディソープで身体を洗い、シャワーで洗い流す。そして予めお湯を溜めていたバスタブに浸かると、気持ち良さそうに「う~~ん……」と足を伸ばす。その全ての行動を、悠人はかすかに体を震わせながら、じっと見つめていた。
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