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 こうして自分に都合のいい解釈を幾つも頭の中に描きつつ、悠人は薬品などが置いてある理科室の窓へと向かった。理科室の窓から校舎の外壁が見えていたのを、悠人は覚えていた。ならば外壁から侵入すれば、理科室の窓へも容易く到達できるはずだと。  心配していた校内の改修などはなかったようで、理科室は悠人の記憶通りの場所にあった。そこで悠人は背負っていたリュックからガムテープを取り出し、理科室のガラス窓に幾重にも貼り付けた。窓を割っても大きな音がせず、破片も飛び散らないようにするためだ。次に悠人はリュックから、先をガーゼでくるんだハンマーを取り出すと、ガムテープを張り付けた箇所を慎重に「ごつん」と叩いた。  恐る恐る叩いたので、何回か叩くハメにはなったが、数回目に思惑通り大きな音を立てず破片を飛び散らせることなく、ガラスを割ることが出来た。更に慎重にテープを張ったまま破片を取り除いて、その間から手を差し込み、窓のカギを開け。そしてひと息置いてから、静かに窓を「すすす……」と開ける。まだ警報ベルが鳴っている様子はない。これなら上手くいきそうだぞと、悠人は自分に言い聞かせながら、窓枠に足をかけ。ここも音を立てないよう、慎重に理科室の中へと入った。  薬品類があるのは、理科室の奥にある部屋だったはずだ。悠人は記憶を頼りに黒板の前に近付き、その左側にある小部屋のドアに手をかけた。ここに鍵がかかっていたら、面倒なことになる。しかしそれは意外にも、あっけなく開けることが出来た。地方都市の公立学校ならこんなものかもしれないなと、悠人は安堵のため息をつきつつ、小部屋の中へ歩を進めた。  求める薬品は、カエルの解剖などに用いるジエチルエーテル。これもネットで検索し、その存在とラベルを調べた。人を眠らせることも出来るクロロホルムという薬品も検索で出てきたが、現在の理科室には置いていないようだった。そして小部屋の扉には鍵がかかっていなくても、薬品棚には鍵がかけてある可能性が高い。ここも悠人は、ガムテープを貼ってガラスを割るつもりだった。
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