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偽物
幼い頃は田舎暮らしだった。山の上に住んでて、下にいっぱい家があったのは覚えてる。
でも、私も一緒の家に住んでたみんなも村に会いに行くことはなかった。父さんは仕事で忙しいみたいだし、私たち姉妹も外に出ようとしなかった。私も遠くへ行くなと言われた。
だから家からちょっと行ったところの森しか行けなかった。動物たちがいっぱい居たのと森の中に大きい木があって光が差し込むとこがあったのを覚えてる。
そこにキョウが居た。
キョウは私に村での暮らしも教えてくれたし、村以外の街でのことも教えてくれた。どれも興味のあることが多かった。それから私は山から引っ越した。私の病気を治しに行くと行ってそのまま別れた。
あれから10年、私はキョウと再会する。
待ち合わせ場所は、村の一駅隣の街の喫茶店
「ユリ…?」
喫茶店でミルクコーヒーを飲みながら待ってたら若々しい青年がきた。メガネをかけて茶髪で見た目は好青年な子が私の名前を呼んだ。
「キョウ…くん、久しぶり。また会えたね」
「う、うん、久しぶり」
「どうぞ座って、なに頼む?」
「うーんそうだなぁ、じゃあアイスコーヒーのアイスにしようかな」
「え?なにそれっ」
「え…?あっ…!」
「アイスコーヒーのアイスっ…って…」
「ち、ちがうよっ!冷たいコーヒーのアイスクリームのことだよっ!」
うん、ちょっとドジっ子のキョウだ。
あの頃から変わんない。
「ユ、ユリも変わったね」
「…え。ま、まぁ…色々と変えたし…」
「イメチェンか〜僕も初めは緊張したな〜」
「…っ。確かに昔会った姿が違い過ぎてびっくりしちゃう」
「そうなんだよ、めっちゃわかる」
今キョウは通信制学校で一人暮らししながら仕事してる。キョウは昔から色々できたから器用なんだろな
「そういえばよく分かったね、僕の連絡先」
「うん、村に寄りたくて、探したらキョウの親に会ったよ、連絡先も教えてくれたし」
「ユリでよかったよ、村の人たちはみんな普通に個人情報とかバラすからな」
「わ、私じゃやだった…?」
「…全然。でも、久しぶり過ぎて緊張するっていうか」
「アイスコーヒーのアイス頼んでたもんね」
「あ。もう〜やめてよっ!」
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