ステージ0101 野花の村

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ステージ0101 野花の村

ー①ー 遥かな遠い場所。 大地が痩せ細り獣や人もろくに生きては行けない所。 しかし、その開拓してる村は一年中草木が実りそこから花が咲かせる。 その村で採れる花の油や蜂蜜は名産地であり近隣の村や年一回訪れた旅商人に取引するのである。 しかし、最近では近隣の村や旅商人がぱったりと訪れなくなった。 まだ村の蓄えはあるが3月後の冬には過ごせるとは思わなかった。 なので村中緊急会議をして来月になるべく早めに各村の使節団を派遣することを決めた。 ー②ー 「シャンペトルさん!聞いてますか?」 ギルドの受付嬢リンスが怒っている。 しかし、僕はちゃんと聞いてると思う。 そんなに怒らないでくれよ。 可愛い顔が台無しだよ。 「余計なお世話ですよ!」 勝手に人の心を読まないで欲しいな。 「で?何の話だっけ??」 はぁーと深いため息を吐くリンス。 なんか僕を可哀想な目で見てる。 他の受付嬢もなんか察しているのはキノセイである。 「……いいですか。よく聞いて下さいよ。この依頼には大事な!大事な!だいーじな!村の存続をかけた護衛任務なんですよ?この依頼はギルドメンバーに所属する者は強制依頼ですから絶対に遅刻しないように無事依頼達成するまで帰ってくんなよ?ゴミ虫ひょろ男がな!」 ドスの効いた声色で脅しかけるリンス。 素が出ちゃってるよ。 ま、リンスと先週よろしくやってるから、僕達はなんだかいい関係を築いてる……前言撤回彼女はただの仕事仲間である。 一瞬殺気が感じたな。 「わ、わかったよ。とりあえず村の使節団の護衛任務につけばいいんだよね」 「あともう一つ」 「はい?」 「遅刻したら、ちょんぎるからね♪」 一瞬、ギルドにいた男達が自分の股間を押さえる。 僕の額汗には冷たいものが流れていた。 ー③ー 僕はそこそこする冒険者御用達の宿屋を一室を住まいとして借りている。 僕は一室にある私物を整理する。 薬、携帯食料、羅針盤、ナイフなどなど準備は怠らない。 そして僕が身につけてるロケットペンダントには幼なじみの彼女がいる。 昔、幼い頃別れたけど彼女は元気してるだろうか? 今生きてたら25になる頃だな。 トントンと僕の一室にノックするので僕はロケットペンダントを懐にしまい「どうぞ」と入らせる。 「おじさん。入るよ♪」 僕の一室に入り込んだのはこの宿屋屋の経営してる一人看板娘のアイシャだ。 歳は14になるのかな。 彼女は純粋でおしとやかだからリンスとは大違いだな。 ははは。は!なにやら殺気が……!? 僕は慌てて一室の窓の部屋を覗いたがリンスはいなかった。 キノセイかな? 「おじさん?どうしたの」 アイシャはキョトンと首をかしげたが僕は何でもないと平静を装う。 「ねー、おじさん。私、ボーダンおじさまとこの村の近く野花畑に向かうんだけど一緒に行かない?」 「うん。いいよ。この辺はまだ魔物や獣はいないけど用心越したことはないから、同行するよ」 「決まりね♪」 アイシャは僕の腕を掴んで早速リードして連れて行く。 僕はしみじみに思う。 僕が訪ねてきたいくつかの村は悲惨な状況であり、希望もなく生気がなかった。 この村はそんな微塵も感じられない。 そんな村が僕のわずかな癒しであり、何度も励まされた。 だから、この村のためなら僕は……。 ー④ー 「ねー、見て見ていい香りでしょ?」 「あー。そうだね」 僕とアイシャ、それと無口のボーダンさん。三人は村の近くの川のふもとにある野花畑に来ていた。 ここでは、新鮮な川水で野花を育てていき蜂蜜や油が採れるらしい。 そしてアイシャが花冠をして僕に被せてもらった。 ちなみにアイシャはちゃんと了解を得て花を摘んでいる。 しかし、なかには狼藉者もいる。 そこに堂々と野花畑で寝ころんでいる彼と黒い狼である。 彼の風貌は黒い鎧を着込んでいて髪は銀髪であった。 アイシャはその彼を見ると怖がるのである。 と、ボーダンさんはそんな彼を見ていつも話しかけているが無視されている。 と、ボーダンさんは彼の元に近づく。 「おまえさんや。そこに寝静まると我々も困るじゃがな」 「……」 彼はだんまりだった。 と、ボーダンさんは彼のそばにゆっくりと近づき狼の頭を撫でようとすると、 ザシュ! 斬られたのだ。 ボーダンさんの右手が。 「ぐががががが」 「気安く触れるな」 ボーダンさんの右手は高く飛んでゆっくりと落ちた。 口を開いた銀髪の彼は寝転びたまま、歪な黒の剣を振るったのだ。 僕はボーダンさんの元にかけより、剣を抜き出し構える。 「貴様ー!!一体どういうつもりなんだ?」 僕は彼に叫んだ。 すると彼は、 「いいのか?……囲まれてるぞ」 「え?」 野花畑に突然出現した奴ら。 僕と銀髪の彼を取り囲む。 この気配はヒトのモノではない異形なヒト。 肌は真っ白で両眼は赤だった。 彼らの両手には鋭い切れ味の爪を生やしていた。 そして、ボーダンさんやアイシャも異形なヒトであった。 「こいつらは一体?……」 そしてようやく銀髪の彼も身体を起こす。 その黒い歪な剣を軽く構える。 「おまえ、何人殺れそうか?」 「……」 どうやら、僕もこの異形なヒト達をやらないといけないらしい。 当然、僕は。 「この程度なら、全員まとめてやれるさ」 「……そうか。任せた」 僕と銀髪の彼は異形なヒトに立ち向かった。 あの優しくしてもらったアイシャ達を斬られなければいけないのは少し心を痛めたが僕は非情になりがらも遠慮なく斬りまくった。 ー⑤ー 「……」 僕と銀髪の彼は村中にいる村人達を埋葬してる。 当然そこにはリンスもいる。 僕達は逃げ惑う村人達を斬り殺した。 老若男女問わずだ。 必死に嘆願する者や幼い母親と子供、抵抗する者、当然馴染みの知った冒険者たちも殺さなくてはいけなかった。 彼から聞いた話ではこの村の使う蜂蜜や油などに使う花には一種の麻薬であり、これを口にした者は後戻りできないらしい。 そのため先月、彼はこの村を調査しにきたわけだ。 「……準備いいか?」 「ああ」 そう、僕はこの村に滞在していて口にしてるから手遅れだ。 だから、僕は剣を構える。 戦士として最期の死に場所として銀髪の彼に駆ける。 「……!」 僕は剣を振り下ろすが何故かなかなか当たらなかった。 僕は息をあがったが彼は息もせず汗ひとつもかいてない。 強い! でも、僕もかなり腕を立つ戦士である。 ……そう、魔剣使いである。 僕は魔剣を取り出し風を呼び起こしいくつか分身をいくつか作り出した。 「!」 彼も驚いてるようだ。 そうだな。魔剣使いは滅多にお目にかからないからな。 僕は風の軍団を率いて彼にぶつける。 がっ!?……。 一瞬わからなかった。 そうか、どうやら自惚れていたようだ。 目の前に彼が持ってる白の大剣。 そう、彼も魔剣使い超える存在だったからだ。 あの大剣は噂で聞いたことある。 魔剣使いよりも強い"魔剣者(まけんじゃ)"がいると……。 僕の身体はすでに真っ二つに切断されていて、少し経つと事がきれた。 「もらってくぞ。おまえのチカラをな」 ー⑥ー 魔剣使いシャンペトルの亡骸はこの村人と同じ場所である野花畑に埋葬された。 彼の形見であるロケットペンダントは彼の住む村に預けられている。 その幼なじみの彼女はすでに亡くなっていたので彼の一部の耳を切り取り埋葬された。 魔剣使いシャンペトルの物語はこれでおしまいであるが新たにもう一つの物語の幕開けとなる。そう彼はーー。 ー⑦ー 「シャンペトルさん!聞いてますか?」 「……ああ、聞いてる」 「じゃあ。わたしの話はなんでしたか?」 「聞いてるという話」 と、ギルドの受付嬢はどこから取り出しのかゴブリンの棍棒をスパーンと頭を叩く。 「……痛い」 「そりゃ。そうですもんね。思いきりいたーくしてますから!」 この銀髪の黒鎧を着込んだ彼がシャンペトル・ブーケ。 そしてまたの名を魔剣者シャンペトルである。 シャンペトルとこの村のギルドの受付嬢のやりとりはこのギルド内で見慣れたものである。 「もう一度言いますよ?この次の依頼先はーー」 そして8回目の説明でようやくシャンペトルは依頼内容を理解した。 彼は物覚えが悪い頭の持ち主であった。 もっとも誰かさんが頭を何度も叩いてるせいもあるが。 ー⑧ー シャンペトルはギルドから出ると、そこで居眠りしていた相棒の黒狼ジェイドが立ち上がる。 ジェイドはオスであり、結構若いメス狼を見るとナンパしてよろしくやっている。 昨日はやりすぎたみたいで寝不足のようだ。 世界の各地にはもしかしたらジェイドの子供達が見られるかも知れない。 そんなジェイドの対象的に彼シャンペトルは女の気もないのは彼がその気もないからだ。 シャンペトルには心を決めてる女性がいる。 ただ、その彼女は神の國へと旅立っていてこの地上には存在しない。 彼もあそこへ着くまでにはやらなければならない途方のない場所を目指す。 彼が生まれた場所、"魔剣者の村"。 愛する彼女が奪われた復讐対象の村。 彼の宿る眼には冷たい憎悪があふれていた。 そして、そんな魔剣者の村を訪ねて彼は旅を続ける。 野花の村 001 Stage clear!
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