12月21日

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「あたし、あんまし人の素性とか興味ない方だけど……あんた、相当変わってるよね」 「そうですか?」  紺野は薄く目を開くと、小さく笑ってみせる。瑞希はそんな紺野を探るように見つめた。 「あんた、高校中退で働いてるとか言ってたけどさ」 「はい」 「もしかして、親がいないとか?」  その問いに、紺野はあいまいな笑みを浮かべて遠くを見るような目をした。 「……いますよ」  紺野はそれしか言わなかった。じっと天井の模様を見つめて黙っている。 ――話したくないんだ。  そういう気持ちは瑞希もよくわかる方なので、それ以上問いただすのはやめた。 「あんたが良くなるまで、あたし、ここにいてもいいかな」  紺野は黙って瑞希の顔を見た。 「あたし、行くところがないんだ。よかったら、昨日のお礼に看病させてよ。昼飯も、夕飯も作るからさ」  そう言って瑞希は、明るく笑って見せた。 「あたし、こんなんだけど家事はそこそこやれるんだ。まあ、あんたも得意そうだけど。あんたがよくなったら、必ず出て行くからさ……ダメかな」  瑞希は、ウソ偽りのない本心を言った。なぜだか、この男の悪意のかけらもない顔を見ていると、体をえさに釣るような方法を取らなくても、正攻法で何とかなりそうな気がしたからだ。もちろん、その間にそういう関係になれればしめたものだとも思ってはいたが。  紺野はしばらくの間、そんな瑞希を黙って見つめていたが、やがて静かにうなずいた。 「いいですよ」 「マジで? ありがとう。助かるよ」 「とんでもない」  紺野は首を振ると、瑞希に優しく笑いかけた。 「好きなだけいてください。狭苦しいところで申し訳ありませんが」  その笑顔に、瑞希は再びドキッとした。慌てて目線をそらすと、小さくペコリと頭を下げた。
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