12月22日

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「いただきます」  途中から瑞希も手伝ったので、朝食の支度はあっという間に終わった。二人はちゃぶ台に向かい合わせに座って、手を合わせてあいさつをしてから食べ始めた。 「紺野くん、今日は仕事?」 「ええ。そのつもりです」 「そっか……。何時に出る?」 「今日の出勤は確か八時半なので、八時頃に出れば間に合いますね。職場が近いんで」  瑞希はシャケをつついていた手を止めて、つぶやくように言った。 「じゃ、あたしも出てかなくちゃだね」  紺野も箸を止めて瑞希を見やる。瑞希は目線を落として小さくため息をついたが、振り切るように顔を上げると、やけに明るく笑ってみせた。 「ありがとね、紺野くん。あんたのおかげで助かったよ」  紺野はそんな瑞希の顔を探るように見つめていたが、ややあって、遠慮がちに口を開いた。 「……大丈夫ですか?」 「え? 何が?」  きょとんとして首をかしげた瑞希を、紺野は心配そうに見つめている。 「本当に、出て行っても……」 「? 本当にって?」  紺野はなんと言おうか考え(あぐ)ねている様子だったが、ややあって、言いにくそうに口を開いた。 「……もう、変なまね、しないですよね」  瑞希は目をまん丸くすると、シャケが入ったままの口を開けて紺野の顔を見つめた。 「気づいてたの?」  紺野はおずおずとうなずいた。 「あんなところ、釣りもしない人が、普通は入り込みませんから」 「マジで?」    瑞希は箸を置くと、目線を斜め下にそらしている紺野をまじまじと見やった。
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