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 神宮寺奈緒(じんぐうじなお)は、目の前で無精髭(ぶしょうひげ)の口元をいやらしく歪める男を、忌み木に巣食う蜘蛛(くも)のようだと思った。私はさしずめ、蜘蛛に絡めとられた蝶。  奈緒は、あのとき道を誤ったことに後悔はあったが、しかし、もう後戻りをする気もなかった……
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