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真紗也は頻繁に神宮寺家に遊びに来るようになっていた。はじめのうちは、健斗がいるときだけだったが、俊之に気に入られたこともあり、まるで家族のようになっていた。
奈緒は真紗也が来ると、自分でも不思議なほど胸が高鳴った。料理が得意な真紗也とスーパーで食材を選んだり、キッチンに並んで料理を作ることが、ことのほか楽しかった。娘がいたらこんな感じなのだろうか。家庭を持って初めて心が充実していた。
健斗を育てたのは、家政婦の久保民代だった。母乳はもちろん奈緒が与えたが、それ以降は民代が母親代わりだった。健斗も自分より民代になついていて、自分があやしても泣き止まないのが、民代に代わると途端に笑顔になり、民代の腕のなかで寝息を立てていた。
自分は跡取りを生んだらお役御免なのか。私じゃなくても子どもが産めれば誰でもよかったんじゃないのか。誰も自分を必要としていない。ずっと孤独と隣り合わせだった。しかし、真紗也といる間だけは心が満たされていた。気がつけば真紗也は、奈緒にとって、なくてはならない存在になっていた。
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