レイジ 天使の誘惑

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レイジ 天使の誘惑

「少しだけお話させていただいてよろしいでしょうか?」 「はい..別に構いませんが...」 さすがに『どうぞ、どうぞ』とは言わないが、返事は『OK』の一択。だって、断って彼女を帰してしまうには、あまりにも惜しかったからね。 彼女は小走りで、自分が座っていただろう席にジュースを取りに行った。 その間、俺は頭をフル回転させる。 そうか! 美少女に話しかけられてオドオドする冴えない男を笑う動画か、ありそうだ。と、廻りを見渡すが、俺を撮っていそうな人はどこにもいない。 ハニートラップ...それはナイナイ。俺なんて失うものが無さすぎる。ハニトラ仕掛ける価値もない。 じゃ、宗教の勧誘とかマルチ商法の類なのかな。ふむ、この線はあるかもな。まっ、公共の場所だから変なことにはならないだろう。やばそうなら無視して帰ってしまえばいい。 彼女が戻ってきたので、とりあえず座ってもらった。向かい合わせの二人掛けの席でよかった。 「私の名前は『カミシタ エル』と言います」 そう言って彼女は名刺を...出さない。 ネームプレートさえ付けていない。勧誘や怪しいビジネス絡みの話ではないの? とりあえず、俺は自分のことを本名ではなく『レイジ』と名乗った。 「私は最近、こちらに来たばかりで、知り合いもいなくて、そもそも人と話すのが苦手なんです」 どこからか上京してきたということか? 話すのが苦手って、こんな美少女なんだから自分から話さなくても、いろんな人に話しかけられることも多いだろうに。 「なので、大変失礼なのですが、少しだけ話相手になっていただけませんか?」 (え~っ、そういう切り口で来たか) 「練習相手みたいな感じ?」 「えぇ、申し訳ありませんが、よろしいですか?」 しかし、まだ彼女の本意が読めない。でも、彼女と少し話してみたいというスケベ心が芽生えたのは否定しません、ハイ。
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