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サイコパス養成学校
登場人物
文武文子
女性、二十代、埼玉県さいたま市出身、O型、天秤座、酉年、サイコパス養成校講師兼刑事、
御門悠馬
男性、十八歳、東京都練馬区出身、B型、申年、獅子座
明智陸斗
男性、十八歳、埼玉県春日部市出身、B型、戌年
、獅子座
木崎日葵
女性、十七歳、千葉県出身、AB型、寅年、魚座
室戸華南
女性、十七歳、愛知県名古屋市出身、O型、辰年、水瓶座
悠馬
「おい、王様ゲームやろうぜ」
日葵
「王様ゲーム? やるやる!」
華南
「ひ、ひまりがするなら、あたしもやろうかな」
陸斗
「確率は四分の一か。いいだろう」
悠馬
「王様だーれだ!」
日葵
「わたし……じゃない」
華南
「残念……あたしでもないか」
陸斗
「ち…俺でもないのかよ」
悠馬
「やりいっ!
俺が王様だ。わーはっはっはっは今この瞬間から俺がこのクラスを支配するっ!」
陸斗
「断る。だれが悠馬に支配されるかよ」
悠馬
「拒否権はない。さあ奴隷どもまつりだまつりだあっ!」
陸斗
「血祭りいいならいくらでもあげてやるよ」
悠馬
「その勇気だけは認めてやる、おまえたちは全力全開で俺の指示に従ってもらう!」
陸斗
「従うつもりは微塵もねえが、いうだけいってみろ」
日葵
「悠馬はどんな命令出すの?」
華南
「おっぱい見せろとか、パンツ脱とかは勘弁してね」
悠馬
「誰がそんな小学生がするような命令するかよ。俺の命令はこうだ。日葵と華南。俺の目の前でキャットファイトしろ」
日葵と華南
「えええええっ!」
悠馬
「プロレスごっこすりゃいいんだ。簡単だろ」
陸斗
「悠馬おまえ、とことんクズだな」
悠馬
「拒否権はないといったろう。プロレスがいやならSMごっこで勘弁してやる」
日葵
「あんたがM男で、わたしたちふたりがSでいいならやったげるけど?」
悠馬
「断る。俺がやったら王様ゲームにならないだろう。それもいやならディープキスでいいだろう。それがいやなら、ミックスファイトで俺が関節技きめてやらからリョナれでどうだ!」
日葵
「……ディープキスかあ、やろっか、華南」
華南
「……う、うん」
陸斗
「悠馬そんな命令が許されると思のか。俺はおまえの命令にクーデターを起こしてやる」
悠馬
「いさましいじゃないか陸斗。愚民が王に勝てると思ってんのか?」
陸斗
「暴君いや愚帝がほざくな。王の命令が気にいらないならクーデターを起こす権利はあって当然だろ」
悠馬
「ほう」
陸斗
「おまえは、命令に従う奴の気持ちを考えたことがあるか?」
悠馬
「ねえよ。じゃあおまえは、鬼ごっこの時に鬼じゃない奴の気持ちを考えたことがあるのか?」
陸斗
「クッ……」
悠馬
「ことのついでに聞いてやるよ。日葵、華南いまどんな気持ちだ?」
日葵
「別に? かたちだけさっさと済ませて、わたしが王様になったら倍返ししてやるから覚えとけスケベガキ! て思ってるだけよ」
華南
「同感。あんたは、生で昆虫食してもらうから覚悟しとけよ!」
日葵
「それじゃぬるいって。わさびてんこ盛りシュークリーム完食にしよう。吐いたらやりなおし!」
陸斗
「二人共ぬるすぎだろう。こいつの頭にのぼりきった血を瀉血するんだ。一滴のこらず、少しは血圧コントロールになるだろう。どうだ、悠馬これがふたりの気持ちだそうだが」
悠馬
「いうじゃねえか。だがな王様の命令に逆らえば国家反逆罪で死刑にできる」
陸斗
「過半数が王に資格なしと認めれば、処刑台に立たせることもできるが」
悠馬
「なら力ではっきりさせるか。どうだ?」
陸斗
「おまえは腕力でしかものを決められないのかよ! 脳筋がっ!」
華南
「ああああああああああああああああ!おとこども少し黙れ!ミシンでその口縫ってやろうか?」
日葵
「あ〜あ、華南がキレたじゃない。こいつキレたら面倒臭いのよ。それよりわたしたち、ちゃんとやったんだから二回戦やろ、二回戦」
華南
「そうね。女王になって悠馬にどぎつい仕返ししなきゃ♪」
日葵
「それはどうかな。女王になるのはこのわたし、まずは女王にひどい仕打ちをしたこの悠馬に報復しないとね」
悠馬
「ケっほざいてろ。次も俺に決まってるだろ」
陸斗
「すべこべいってないで二回戦やるぞ」
日葵
「今度こそわたしが女王よ。王様だ〜れだ」
文武
「皆さん、おはようございます。休憩時間から騒がしいですね」
悠馬
「おおっ! 先生、しかも女で美人じゃねえか」
文武
「お褒めにあずかり光栄です。私が皆さんの担任となる文武と申します」
陸斗
「文武か、上から80、60、75ってところか。出来れば下の名前ききたいな」
悠馬
「てことは、先生E?」
文武
「随分たくましい想像力ですね」
悠馬
「先生どこ住み? 都内?」
文武
「関東出身ですよ」
悠馬
「先生って彼氏いる?」
陸斗
「いるに決まってるだろう。あんな美人なんだ、いても不思議ではないと思うぞ」
文武
「交際相手がいるようにみえますか? ふたりともエスコートが上手ですね」
悠馬
「年上と年下どっちが好み?」
文武
「デートをエスコートしてくれるなら、どちらでも」
陸斗
「レディファーストなら任せてくださいよ」
文武
「あら、男性をたてるのも先生は得意ですが、それはたのしみです」
悠馬
「デートは女ぐいぐいひっぱってなんぼだよ」
陸斗
「それはともかく俺たちをここに集めた目的は? まさか外界の人間から隔離するためじゃないよな」
悠馬
「俺たちは病人かよ」
文武
「それはこれからお話しすることになりますが、休憩時間の騒ぎはなんですか?」
陸斗
「悠馬が王様ゲームで女子同士でプロレスやれとかSMやれとか、ディープキスやれとか非人道的な命令するから注意したんです」
悠馬
「ほう、俺が非人道的だって?」
日葵
「わたしは男としようが女としようがかまわないんだけどね。まあ王様ゲームの命令なんてだれがやってもくだらないものよ」
華南
「でもファーストキスの相手が日葵になっちゃった」
日葵
「あら、わたしじゃ不服だったかしら」
文武
「そうですね。王様ゲームの参加者で統計をとったところ、Sの人が王様をMの人がそれ以外をひく確率が高いそうです。通常なら参加しなければ命令に従う必要はありませんが、孤独を避けようとする所属の欲求がそうはさせなかったのでしょう」
悠馬
「へえ。じゃあ俺はドSだから王様をひいたのか」
文武
「御門悠馬くん。王様をひいたことも含め、あなたがみんなに出した命令も、プロレスをしろだとかSMをしろだとか、そうした内容からもドSといえるでしょうね。厳密には王様
ではないから奴隷だというルールはないんですが、奴隷どもといってましたし」
悠馬
「じゃあ、おともたちと呼べばよかったか?」
日葵
「でも王様以外をひいたわたしたちはドMってこと?」
華南
「あたしもドMになっちゃうじゃない!」
文武
「ドMもドSも表裏一体ですから、ドSに転じることもあります。綺咲日葵さん、二回戦では悠馬くんに報復しようといっていたのもそういうことだと思います」
日葵
「そうなんだ。ドSに転じようとしてたのか」
華南
「あたしもそうなのかな?」
文武
「悪法も無法に勝るということばがあります。どんな理不尽なルールであれ、ないよりははるかにマシというもの。従うしかありませんが間違っていることは間違っているということも大切です」
陸斗
「先生のいう通りだ。だから俺は悠馬に間違っているといったんだ」
悠馬
「俺が間違っているだと」
陸斗
「クラスメイトが間違えたなら殺してでも止めるのが普通だろう」
悠馬
「だれを殺すだと? もういっぺんいってみろ!」
陸斗
「おまえだよ。何回でもいってやろうか?」
華南
「ああああああああああああああっ! だまって先生の話をきけっ! オスども!」
文武
「続けますね。明智陸斗くんは悠馬くんの命令が気に入らないとクーデターを起こしましたね。これもドMからドSに転じようとしている行動です。しかし、陸斗くんが王様になった時の命令でいやな思いをすれば、日葵さんや華南さんが復讐を企てると思いますよ」
陸斗
「でも俺は日葵や華南のことを考えて命令を出しますよ」
文武
「その台詞は、これまで多くの政治家がくちにしてきましたが国民に伝わったケースは稀なんですよ。さて、休憩時間のことはこのあたりにして、今日の授業をはじめましょう」
悠馬
「授業? 保体の授業してくれるの?」
陸斗
「科学だろう。脳に電流を流してマナーなってない奴の根性たたき直してやる実験だな」
日葵
「それだったらレントゲンで、脳の断面図を撮ってもらうのが先じゃない? 解剖学かな」
華南
「解剖学なら整形手術でしょ。いやな奴の顔面ボコボコに整形してやりたい。ていうか胸筋ひっぺがして豊胸してやりたい」
悠馬
「おまえ、いうことけっこうえげつないな」
文武
「残念。私の専攻は国語です」
悠馬、陸斗、日葵、華南
「ええええええっ!!」
文武
「とはいっても、教科書もノートも使いません。みなさんにはしりとりしてもらいます」
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