34人が本棚に入れています
本棚に追加
四
四
さて、まずは隠れ場所を探して、しばらく追っ手から身を隠すのが先決だ。
そう思った颯太は辺りを歩きながら隠れ場所を探した。
洞窟のような場所もなく、岩陰もありません。
上を見ると二股に枝分かれした木を見つけました。
枝も太い。あの二股なら寝ることも出来るし、木の上ならば獣に襲われることもなく安心だ。そう思った颯太は木を登り二股に腰を下ろし、安定感を確かめました。
よし。これなら安心だ。
日が暮れ始めたので、暗闇の中を歩き回るのは危険だと判断して、颯太は木の上で朝まで時間を過ごすことにしました。
朝日で目覚めた颯太はむくっと起き上がりました。その時バランスを崩して木から落ちそうになりました。颯太は腕で木をつかみ、かろうじて落ちるのを避けられました。
あっぶねぇ、もうちょっとで落っこちるところだ。
そうか、そうだ。家のベットじゃないんだ。なんだか身体のあっちこっちが痛い。
颯太は身体をさすりながら下を眺めた。
木から下りた颯太は山の下方を見ます。
なにやら水の音が聞こえてきました。
道はありませんが傾斜を下り、小川を見つけて水を飲みます。
生きた心地とはこの感じだよな。などと悠長な感想を言って、傾斜を登り、元の場所に戻ります。
颯太は昨日山に隠した荷物を取りに行こうと思い、昨日来た道を歩き始めました。
平坦な場所が見えてきたとき、一瞬、足に違和感を覚えました。
ギュッと足を縛られるような感覚があると、ザザッと音がし、なにか音がしたかと思えば、景色が反対に見え始めました。
颯太は足を縛られて逆さづりにされていました。
しばらくすると、颯太は人の動きを感じました。
「やっぱり、土地勘のないやつは歩きやすい獣道を通ると思ったんだ」
「仕掛けが成功したな。獣より簡単だ」
「猪じゃねぇから喰えねぇけどな」
などと笑いながら男たちが姿を現しました。
颯太は男たちの罠に引っかかり、生け捕りにされました。
最初のコメントを投稿しよう!