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「今度は私がオムライスにSUBARUって書いてあげるからね」
「それは楽しみ」
その後も僕たちは何度も食事を共にしたし、SUBARUと書かれたオムライスは我が家の食卓には何度か登場した。
その中には何度かアンさんがチャレンジしたオムライスもあった。
味は正直酷いものだったけれど、食事自体に興味を持たなかった人が食事を作ったことが僕は進歩だと思うし嬉しかった。
色んなご飯を食べた。
凝ったレシピの日もあれば手抜き料理の日もあった。差し入れでもらったお菓子だけで腹を満たす日も、ご飯が焦げて誰が食べても不味いとしか言いようのない失敗作を食べるしかない日だってあった。
まな板の上では何度も野菜が切られフライパンでは肉が焼かれた。鍋は卵や豆を煮て、何百回も皿を洗った。
鼻歌を歌いながら鍋をかき混ぜた。笑いながら畑で新鮮な野菜を収穫した。包丁で指を切ったら治してもらった。
彼女はその後も何度も何度も笑いながら、味がしないわとにこにこしながら教えてくれた。
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