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6月の爽やかな風が車内にも吹き込んだ。そろそろ本格的な夏がやってくるはずだけれど、ここ数日は爽やかな日が続いていてとても過ごしやすい。
「私もそろそろ様子を見に行こうと思っていたのよジョシュアさんは」
「まぁ確かに。あの人がくるとお菓子ごっそり減るから目立ちますもんね」
アンさんはウィンプルをなびかせながら水筒のお茶を一口飲んで片付けると、少し真面目な顔をして僕に言う。
「ジョシュアさんは一人暮らしよ。ミサをさぼってるだけならいいけれど、最悪亡くなってる可能性があるわ。今のうちに覚悟をしておいてね」
僕はその可能性に対して「うわぁ」と苦い顔をする。
「うーーーん、僕、ご遺体がある仕事苦手……」
「得意な人なんていないわよ!そのときは町の人に手伝ってもらうから、吐いたりしないように頑張ってよね。まぁ大丈夫よ最近涼しかったし、一週間も経ってないからだいぶましよ。慣れちゃえば大丈夫よ」
「嫌な慣れだなぁ~」
そうして僕たちはスラム街のさらに外れにぽつんと建っているジョシュアさんの家を目指して仕事をするために走り続けた。家について玄関をノックしても反応がないため、仕方なく無理やりドアを開けて侵入する。
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