1.ボイスな出会い

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ミーンミンミンミン……。 夏休み最後の日。 いつものように、いつもの駅に降り立った私は、できていたその人だかりに、ふいに足を止めた。 「どうしたんですか」 思わずそう声をかけてしまったのは、長年この土地に住んでいるが、駅の改札を抜けたその場所で、こんなに人が立ち止まっていたことがなかったから。 「いや、それがね」 そしてこんな風に、見知らぬ人と会話を交わすのも初めての体験。 目の前に立っていたおばちゃんが、くるりと振り返って私に手をこまねいた。 「どうやら芸能人が来てるらしいのよ」 「……ほう!」 これも今までなかった経験だ。 田舎町とまでは言わないが、東京からはそれなりに離れた都道府県。 県庁所在地の中心駅にイベントで訪れることはあっても、こんな住宅地の駅に芸能人が来た試しはない。 「誰ですか?」 なので思わず、会話が続いてしまう。 人だかりを交わすように身を揺らしてみるも、向こうは全く見えなかった。
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