1.ボイスな出会い

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(恋人……的な) なるほど、だからみんなソレを期待して、この場にとどまっているのかもしれない。……スマホを片手に。 「すみませーん、通してくださーい」 ということで、私はもうスルー案件。 芸能人のプライベートに興味はない。 それより、明日から始まる学校に備えて、夏休み最後の日という今日を、最後まで満喫する方が意義がある。 ――が。 「はいはい、君も是非やってみよう! 誰の声で目覚めるか、はたまた誰の声掛けでも起きないか! 揺すってみた人もいたけれど、彼は手強いよ~! まだ誰一人、“ん”の声すら聞かせてないよ~っ!」 ――!? 突如現れた謎のメンズ二人組が私の前に立ちはだかった。 片割の手には……動画配信か!? イケメンを起こすのは誰だ! とスマホに向かって解説している。 思わず顔を隠して、この訳の分からない企画に乗っからないと逃げようとする、も。 「さぁさ、シンデレラ企画! 誰が起こすか選手権!」 「!?」 そう言って、私の腕を引いた。 「わ、私はそんなっ」 「おっ、男の子かと思いきや、これはもしや女の子でした!」 「――、」
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