1.ボイスな出会い

9/27
前へ
/55ページ
次へ
「す、すみませんっ! 転んでしまって!」 「ううん、助かったよ。一度寝ると、なかなか起きられなくて」 (!?) それは、つまり……。 「あの人たちと、グルだったわけでは、なく……?」 なんて、馬鹿正直に訊ねてしまった。 「――、」 と、彼の視線が二人組に移り、たったそれだけの仕草に観衆が「はぁ」と甘いため息を零した。 「ちょっと待ってて」 「え、」 その一瞬でこの状況を把握したのか、彼が立ち上がり、彼らに近づいた。 そして――。 「わっ、何すん――」 彼らが叫ぶのも半分で、取り上げたスマホ。 そしてそれをそのまま――。 (フライアウェイ……) またも昭和!?なノリで出てきた単語が、線路の向こうの土手に飛んでいったスマホを見送った。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

79人が本棚に入れています
本棚に追加